存在感がありません!!
とはいえ、今回は三太の事と……私のためにもなる事だったけど。
まず第一に私や紅は全然気にしてなかったんだけど、【アーツ】を使用する際、発動準備時間や再度使用するための硬直時間がある。意識すれば、それだけで十分だと思ったけど、邪魔が入ればキャンセルさせられる事も。意識が別の方に向くと、駄目な事もあるみたい。
三太は【ヘビーメイス】を持って、一度だけ戦闘してみたいと懇願してきたから、攻撃はさせないで、後衛で【パワーLV5】を唱えてもらうつもりだったのに、一向に発動しない。重いのに意識が持っていかれていたからだと思う。
二つ目。三太の力で持てないなら、【パワーLV5】を自身に使えばいい……と思ったんだけど、【ヒール】等の回復系は自身にも効果はあるけど、【パワー】等の補助系は他者に効果があるだけで、自分に使用は無理みたい。
それは自身で強くなれという意味だよね。私も【アーツ】で強くなるのもあり……と少しも思わなかったといえば嘘になるけど、ちょっと安心した。三太がマンに弟子入りした理由も分かる気がする。
三つ目。補助系魔法は相手の強さに依存する事。マンと紅に【パワーLV5】を使っても、同等の強さを得るわけじゃないみたい。マンの力に対して1.5倍とかそんな感じだ。戦闘終了時は確実に消えるけど、戦闘時間が長引くと効果が消滅する事に。
効果が切れたら、もう一度使えば問題ないんだけど、三太の場合は【重複】があるから……補助系の効果は重複出来たら問題ないけど、そうじゃないみたいだし……
後は……三太のスキルで特殊なのがもう一つあった事。三太本人も口にしてなかったし、マンも教えてくれなかったけど、戦闘中に効果があった。これはパーティーがあってこそ使えるスキルで、善し悪しで言えば半々。僧侶や魔法師にはアドバンテージがある。
そのスキルは【存在感✕】。ヒューイが持ってた【カリスマ】と正反対というわけでもないんだけど、名前からして嫌な感じはあるから。
【存在感✕】は戦闘中のヘイトが集中せず、標的にされない。パーティーメンバーが多ければ、余計にそうなる。ただし、攻撃を仕掛けたら別。だから、回復や補助を使う僧侶にとっては良いスキルなわけ。
三太自身の影が薄くて、他の冒険者に気付かれなかった、放置されて先々進んでいかれたり、色んな事があった結果らしいけど……
それは嘘ではなく、サバンナ地帯でサバンナ・アリの砂色の巨大蟻の集団と遭遇したけど、三太は一匹たりとも攻撃されなかったからね。
今回の大型イベントでは多くの冒険者達が参加して、ペアはあるけど、全員が戦闘に参戦する。という事は、余計に三太が狙われなくなる。魚人に邪魔される事なく、支援出来るのは活躍するのは間違いないと思う。
それもあって、紅は三太をパートナーとして認めたから。
これを考えると、三太とパーティーを組んでた冒険者達は見る目がなかったとも言えるわけ。