スパルタなプレゼント
「あ、あの……大丈夫ですか? 千がイベント参加しないのはチャンスなんじゃ……僕達とは関わる事はないと思いますし」
三太は私や紅を元気付けようとしてくれたんだけど、『関わる事がない』という台詞が図星過ぎて、痛恨の一撃みたいに突き刺さってくる。
「ふぅ……危ないところだった。【ド根性】がなかったら、死ぬところ……というか、三太を一発は殴ってたかも」
「それは止めてください」
一瞬、三太が喜んでしまうのでは!? と思ったけど、普通に注意されてしまった。別にエ……に目覚めたわけじゃないみたい。
「三太の言う通りだわ。私達の実力は千様にまだ見合ってない。そんな奴が千様の水着姿を待つだけなのは駄目に決まってる」
紅も何とか回復。自身が実力不足だから、三太とパートナーを組むのは無理とか言うつもりかとも思ったけど……
「三太は私と【フレンド】登録しなさいよ。言っとくけど、まだパートナーと決めたわけじゃないから」
まさか、紅から三太に【フレンド】申請するなんて……紅は三太がいる事に驚いた様子はなかったけど、実は昨日の事を気にしてるのかも。
「い、いいんですか!! 師匠だけでなく、姐さんからも【フレンド】申請貰えるなんて」
三太は二人目の【フレンド】に喜んでるみたいだけど、紅も私以外で初めての【フレンド】なのでは?
「姐さん!? その呼び方……」
三太の思わず出た声に、紅が反応してしまったんだけど……すぐに申請解除になる流れになったりは……
「いいんじゃないの。師匠と似た感じの呼び方のような気がするし」
しなかった。確かに『姐さん』は威厳があるというか、怖そうな呼び方ながらも慕われてる感じも……ある? 紅が喜んでるなら、ツッコミを入れるところじゃないけど。
「これで三太と【フレンド】になったわけだし、アイテムを渡す事が出来るわね。アンタには力や速さが全然足りないからね。それを成長させるための物を持ってきてあげたんだから」
紅は三太にアイテムを渡すために【フレンド】になったみたいだけど、私が言うのもなんだけど……紅は本当に面倒見がよくないか?
「まずはこれね。【パワーリスト】。私も最初の頃は愛用してたから、効果がある事は保証してあげるわ」
【パワーリスト】!! それは私と紅が模擬戦をした後、報酬としてブラックから貰った物でしょ。その存在をすっかり忘れてた。アクセサリーとして装備する事で、重さの負荷を与えて、力と速さをある一定のところまで成長させるみたい。
私が装備した時には一定の強さの上を行ってたみたいで、全く効果が無かったんだけど、三太には効果抜群かも。
「腕が……凄いです。【木のステッキ】が滅茶苦茶重く感じますよ」
三太の武器は【木のステッキ】で【青の修道服】同様に初期装備のままみたい。支援メインなら、そこまで装備を変える必要がなかった? 私も千城院さんから貰った【赤の修道服】に変えただけだから、人の事は言えないんだけど……
「そう? けど、【パワーリスト】だけじゃないから。関所の露店で良いのがあったからさ。これを魔物に当てる事が出来たら、成長したと思えるはずよ」
紅が三太に渡そうとしてるのは、三太と同じくらいの大きさはありそうな巨大な武器【ヘビーメイス】
「あべっ!!」
紅自身も両手じゃないと持ち上がらないみたい。それを三太に手渡すと、腰が破壊されるぐらいにヤバい前屈状態になってるんだけど!! 三太も変な声が出てたし……