スパルタ過ぎます
「何度も死ぬのもありだと思ったんだよね。その方が三太の成長を促せるはずなんだけど」
【ユニユニ】は魔物を撃破しなくて経験値を得る物じゃなく、色んな行動をして成長していくから。死ぬ覚悟で強い敵と戦闘すれば、少しは強くなれる。それは私が【ナイトメア】や【クイーン】戦で体験したから分かる。
三太はオークの速度に負けるし、まともに攻撃も出来ず、たったの一撃で瀕死状態になる紙耐久。【アーツ】を使おうにも激しい動きをしながらでは無理らしく、宝の持ち腐れ。
「最初のオークは三太より大きかったから、少し怖かったと思うのよ。私も虫系の魔物をうげっと思った事もあったからね。だから、別の相手で二、三戦戦って貰ったんだけど、全部惨敗。攻撃を一発当てても弾き返されるし、何もしないままに敗北した事も」
オークの次に戦ったのは大サソリ。【サソリガタメ】の素材になる奴ね。尻尾の部分による攻撃は麻痺を伴うらしく、それがお菓子のビリビリに繋がるらしい……のは単なる豆知識。
三太は【麻痺耐性○】があるから、怖がる必要もないんだけど、尻尾の攻撃を避けようとするし。杖の攻撃も大サソリの硬さのせいで逆に手が痺れて、カウンターでまたも瀕死に。
最後に相手をした大蜥蜴は三太と同じぐらいの大きさなんだけど、三太に何もさせないままに丸呑みにされて……
この戦闘後、三太はベッドを用意して【ログアウト】してしまったんだけど……
「それは……カズハ達がスパルタ過ぎるでしょ。カズハを基準にしたら駄目だから。三太は僧侶なんだよね? 【支援職】なんだからさ。カズハがおかしい方なんだよ」
「うぅ……そういうものなの? あれが普通なわけ」
マンは別だし、紅も普通の冒険者よりも動ける方だと思ってるけど……結構な差があったから。多分、ヒューイよりも実力は下なんだけど……
「そういうものなの。他のパーティーに参加した事があるのなら、後方で支援に徹してたはずだし。【ユニユニ】からVRゲームを始めたとしたら余計にね。マンを目指すにしても、最初からハード過ぎ。七兄でもそんな事はさせないかな?」
そういえば……昔の事を思い出してしまった。空手の後輩達の練習、指導する時は結構嫌がられてた。感覚派なのもあったし、実戦重視の面があったから……今回も同じ。マンや紅も私と似たようなタイプだから……
それに……兄さんはゲームに関しては厳しいと思ったけど、そんな事をしないとなると、結構ヤバい事をさせたのかも。
「もし、彼が【ユニユニ】を辞めずに【ログイン】してきたら、少しは優しくしてあげたら。この調子なら、前哨戦の結果は言うまでもないし、七兄には私から言っておくけど?」
「分かったわよ。昨日の事は三太に謝るし、マンや紅にも言っておくから。けど……前哨戦は続けるから。余計に紅や三太をハンデと思わせるわけにもいかなくなったからね」
三太がマンの弟子入りしたからって、無茶をさせ過ぎたのは反省。紅のパートナーの件も無理矢理みたいな感じだったしね。だからといって、三太の事で前哨戦を無くすのは、責任を感じさせるわけにもいかない。マンも張り切ってる面もあったから。