マンが師匠になる!?
「こっちは急いでるのにさ……少年が正しかったって証明出来た? 一応、野盗の仲間も捕まえてきたけど?」
私と紅も役人に野盗を引き渡すため、マンと合流する。マンの【鷹の目】で盗んだ現場を見たのなら、野盗が持ってるはず。最悪、倒してしまえばドロップするもしれないけど……
「大丈夫だ。奴は彼の名前が書かれた許可書を持っていたぞ」
「申し訳ない。列の中に野盗が紛れ込んでいるなんて……それも仲間も捕まえてくれるとは感謝しかありません。迷惑を掛けたお詫びに、詰所から抜けて貰って構いません。勿論、許可書は確認させてもらいますが……三太君もすまなかった」
「いえ!! 僕も野盗に盗まれた事に気付かなかったのも悪かったですし」
役人は私達に頭を下げた後、三太という冒険者に謝罪すると、三太も役人に何度も頭を下げたと思ったら、今度は私達にも頭を下げてきた。
「ありがとうございます!! 貴方のお陰で助かりました。貴方が野盗の捕まえた時の行動力、滅茶苦茶格好良かったです」
三太は尊敬の眼差しでマンを見てる気がする。助けてもらうと、見た目で判断する事はなくなるんだよね。私もそうだったし……というか、彼の装備が【青のベール】と【青の修道服】、装飾品として眼鏡をかけてるのは別として、同じ職業の【僧侶】じゃないの?
身長は私や紅よりも低いぐらい。細身と眼鏡でガリ勉みたいな感じ? 【ユニユニ】は本人とは別の姿になる事は出来るんだけど、三太はそのままな気がする。
「そんな事はないぞ。ちゃんと声を出して、否定した事も重要だからな」
マンが彼を軽く褒めるのは良いんだけど、そこまで時間をかけてる暇もないからね。
「ちょっと……行列に並ばなくていいんだから、さっさとついて行かないと」
「そうだった!! こっちは急いでいる身でな。先に行かせてもらう」
マンは三太を置いて、私と紅について行こうとしたんだけど……
「あの!! 僕も一緒について行っても構わないですか。自分を変えるつもりで【ユニユニ】を始めて……貴方みたいになりたいです。師匠と呼んでもいいですか!? 出来れば、同じパーティーに」
「えっ!?」
まさかの三太がマンの弟子入りを志願してくるなんて予想外なんだけど!! 私はマンよりも先に驚いて、足が止まるだけじゃなく、声が出てしまったじゃないの!?
VRゲームで自分を変えたいプレイヤーがいる事は、兄さんから聞いた事があるけど、マンを目指すのは尖り過ぎでしょ。
「師匠……なんて良い響きに聞こえるんだ。仕方ない。まずは服を脱ぐところから始まる」
「なるほど!! 服を脱ぐ事が第一歩」
「何を教えようとしてるのよ!! 彼の職業は【漢】じゃないんだから、単なる露出狂になるだけでしょ。アンタも素直に言葉を受け取ったら駄目だから」
マンの言葉に思わずツッコミを入れてしまったでしょ。いきなり、服を脱げだなんて、下手したらセクハラ案件だからね。素直に返事する彼にも問題があると思うけど!!