紅はアナタのすぐ側に
一時間後……
「アイテムの補充良し、ギルドのクエスト受託もOK、寝袋だけど、途中で【ログアウト】も出来る……マンも何か買い忘れはないよね?」
「大丈夫……だ。【黒岩さん】もGET出来た。飲み物の【渋々茶】や【ゴーラ】もある」
「マンは怪しい物に挑戦するよね。【渋々茶】なんて名前からして渋そうだし、余計に水分が欲しくなるでしょ。【ゴーラ】も濁点がついただけで……」
そこのツッコミは止めておいて、マンの準備は万全。【毒消し草】等の回復系、【地上の抜け穴】の補充、【濡れタオル】の暑さ対策のアイテムも一緒に買ったからね。
クエストに関しては【オーク討伐】をチョイス。【ドライ】付近よりも、獣人の国の国境近く、獣人の国に入っても登場するのを受付嬢から教えてもらった……事もあるんだけど、マンが【オーク肉】が欲しいらしくて。
【闘技場】付近の露店で、【オーク肉】の料理が品切れで買えずに後悔したみたいだから。
「紅は………………なんでいるのよ!?」
紅が【ログイン】したのは【フレンド】という事もあって、表示されたんだけど、いつの間にかマンの隣に並んでるんだけど!?
「『なんでいるのよ』は失礼じゃないの? 私を置いて、獣人の国に行こうとしてたんでしょ。折角、アドバイスをしてあげたのに、その仕打ちは酷くない?」
「確かに言い過ぎかもしれないけど、私と紅は……仲間じゃないよね? ライバルを名乗るなら、一緒に行くのはどうなの? 大型イベントの内容は見たよね? 目指す場所は同じでも、紅とはペアを組む事は出来ないから」
いつものパーティーなら五人まで組めるわけで、ここに来て二人組になると、一人だけ取り残されるという悲惨な目に……これが紅の身に起きてしまうから。
「分かってるわよ。カズハはマンと組むんでしょ。けど、獣人の国へ一緒に行くぐらいはいいじゃない。というか、【救出作戦】に協力したんだから、それぐらいはOKしなさいよ。報酬は何も貰ってないんだから」
確かに報酬らしき、報酬を紅は貰ってないんだよね。【そんなバナナ】は紅自身が断ったわけだけど、【救出作戦】の報酬は許可書で、紅はすでに持ってたわけだから。
「もしくは……カズハ達の知り合いで、私とペアを組んでくれそうな奴はいない? 出来れば、紹介して欲しいところなんだけど。ソロでするのも良いけど……」
紅の気持ちは分かるかも。千城院さんとパーティーを組むまではソロでも良いと思ってた時はあったけど、誰かと一緒にプレイするのも面白いんだよね。マンみたいなのがパートナーだと特にね。その気持ちは本当に分かるんだけど……
「…………私達にそんな知り合いがいると思う?」
「私はカズハだけだな」
自分でそんな事を言うのも嫌なんだけど、【フレンド】はマン、四壱、紅だけだからね。四壱を紹介するにしても、兄さんとすでにペアを組んでるわけだし……
マンに至っては自信満々に私だけだとか言ってるし……千城院さんと【フレンド】になってたはずだけど、流石に誘うのは無理だと分かってるのかも……