前哨戦
「サバンナ地帯か……暑そうだけど、仕方ないよね」
ヒューマ国は草原があったり、森があったり、環境的には過ごしやすいのかも。エルフの国は森一色な感じがするし、紅からの情報いわく、ドワーフ国には山岳地帯らしいから。
「暑い場所であるなら、脱ぐしか……」
「マンがそれ以上脱ぐとしたら、パンツしかないから駄目だからね。私の場合は……考えておこうかな」
千城院さんからもらった【赤の修道服】は脱ぎたくないけど、獣人の国で暑さをちゃんと感じるなら、それ専用の装備を考えないと駄目かもしれないし。【ユニユニ】なら、そこはちゃんと暑くしてそうなイメージがあるんだよね。
「装備を考えるなら、獣人の国で見た方がいいかもしれないけど、出発する前に色々とアイテムを買うべきかも」
「冒険には食べ物が必要だな。オヤツは何個まで良いんだ?」
「いくつでも良いけど、ちゃんとしたアイテムも買ってよ。ヒューイにあげた分の、パンツの予備も買わないと」
今回は【闘技場】の報酬で20000Gあるから、アイテムを買うのは問題ないはず。といっても、マンみたいに食べ物ばかり買うと、一瞬でGが消えてしまうからね。
「暑い場所なんだから、飲み物系や涼しくなるアイテムとかあるかな? 【闘技場】近くの露店にあったら良いけど」
職業が商人の露店なら、違う国対策のアイテムが売ってる可能性があるかも。
「って!! ちょっと待って。友達からメールが届いてるから」
四壱も【ユニユニ】に【ログイン】したみたいで、【フレンド】に登録して、すぐに返事をくれた。
「なになに……前哨戦みたいに、獣人の国の中心、【サファリ】にどっちが先に到着出来るか勝負!?」
これは四壱じゃなくて、兄さんが言ってる気がする。
「準備もあるだろうから、【ユニユニ】の時間で一時間後に出発……そっちは早めに出発しても構わないからだって。兄さん達は【ユグドラシル】かららしいけど」
エルフの国と獣人の国も隣接してるのか、距離的に変わらない? それでも兄さんは私達に勝てると思ってそうなんだけど!!
「おおっ!! 【MAP】で【サファリ】と【ユグドラシル】の場所が増えてるぞ。獣人の国の首都と説明がされてるな。【ユグドラシル】はエルフ国の中心で、【フォース】から【サファリ】よりも遠そうだぞ」
私が四壱のメールを読んでると、マンが【MAP】で【サファリ】が追加された事を教えてくれた。
私も【MAP】を再度確認してみると、獣人の国の北側にエルフの国が追加され、【ユグドラシル】の場所も教えてくれてる。【ユグドラシル】はエルフ国の中心部にあるけど、獣人の国から離れた場所にある。
ちなみに国の広さは獣人の国→エルフの国→ヒューマ国。【サファリ】や【ユグドラシル】以外に【???】はあるけど、その数はヒューマ国よりも少なく、街の数が少ないのかも。
「私達よりも遠い場所にいて、【サファリ】が何処にあるのかも教えて貰うお膳立てをした状態でも、勝つ自信があるわけね。上等じゃないの!! その勝負、受けてやるわよ。マンもいいわよね!!」
「勿論OKだ。ハンデもなし。私達も一時間後に出発だな」
ここまでされたら、逃げるわけにもいかない。マンも同じ気持ちみたい。早速、四壱にメールを送り返してやらないとね。