銀髪の彼
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「はぁ〜……昨日は色々と疲れた。災厄の獣となんて何回も会いたくないんだけど」
昨日の【ユニユニ】の疲れを残して、大学に。休みたい気持ちもあったけど、千城院さんを一度は目にしておくためにも登校するのもあるし……
【クイーン】戦後、私達は【地上の抜け穴】で涸れ井戸の場所まで戻った時、そこには紅と一緒にヒューマ国の兵士達が数人集まっていた。
紅は私やマンがギルドに戻ってこない事で、戦闘がまだ続いてると思って、こっちに向かおうとするところだったみたい。
兵士達に関しては地下から巨大な音が鳴った事で、それの調査のため。こっちは分からなかったけど、バナナの月を落とした時か、【ターンアンデッド】の光の柱が立った時かも。
まぁ……ヒューイが【地上の抜け穴】から登場した時の兵士達は驚きを隠せなかったけど、二人の状態を確認するとすぐに城へと運んでくれたのは助かったんだけど……
そこで私、マン、紅はギルドやヒューマ王に報告する前に【ログアウト】をする事にしたわけ。ヒューイが救出された事で、王もそれどころじゃないと思うし。
紅が【ログアウト】する時に、『【クイーン】戦の事が聴きたいから、大学で会うわよ』と半ば強制的に約束されたのもあって、休まずに大学へ来たわけ。流石にマンは同じ大学じゃないから、話に加わる事は無理な話なんだけどね。
紅は途中で【クイーン】戦を離脱したから、どういう風になったのかを知りたいのは当然だし、【ナイトメア】戦も似た感じだったから。
「おっ!! 昨日はお疲れ。待ち合わせの場所に行かずに済んだわ」
待ち合わせをしたのは校舎裏……私と紅……百瀬紅子と大学で初めて会った時に、連行した場所だったんだけど、校門の側で会うなんてね。
百瀬は【ユニユニ】での紅の姿と全く姿が変わらない。百瀬がジャージ姿なのは、ストリートダンスの練習のための服装なのかも。
「こっちとしても早めに終わらせた方が楽だから。校舎の方に向かいながらでいいでしょ?」
「仕方ないわね。こっちが頼んだ側だし、折れてあげるわよ」
百瀬も渋々ながら頷いて、私は簡単に【クイーン】戦で起きた事を話した。
「筋肉でも【クイーン】に全く歯が立たなかったわけ? あれで不完全な姿なんだから……ヤバいわね」
マンもパンツを履いた状態で、全力じゃなかったけど、それでも【クイーン】には力負けしてたと思う。【クイーン】自身も六割以上の力は出せなかったわけだから……
「私とカズハの場合、相手は全然本気でもなかったわけだし。もっと強くならないと、千城院さんのパーティーなんて、ちゃんちゃらおかしい事になるから」
「それぐらいは私でも分かるから。もっと成長しないと……」
【ナイトメア】戦同様、【クイーン】戦において、何処か成長したと思うんだけど、そこは次に【ユニユニ】へ【ログイン】するまで分からない事なんだけど……
「ん……どうした? まさか……千様の姿が見えたのか!? 何処だ!! 何処にいる!?」
私が言葉を詰まらせた事で、百瀬は千城院さんを見つけたと勘違いしたみたい。
「銀髪!! ……だけど、千様じゃない!? あんな奴が大学にいた? 千様同様滅茶苦茶目立ってるんだけど……」
百瀬も見つけたみたいなんだけど、そこにいたのは銀髪の男性。周囲にいる女性達の目が男性に釘付になってる感じ。
その男性は、四壱と一緒に映画館へ行った時に見た、銀髪カップルの片方なんだけど!!