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手四つ

「妾の攻撃をその体に受けて死なぬとは……興味があるぞ」


【クイーン】の桃色の瞳が、私を捉える。ヒューイから私に標的を変えた? 一撃で倒されなかった事で興味を示したみたい。目的は達したと言っても、今の体だと……もう一度【ヒールLV2】を使うにも、さっきの使用で硬直時間も終わってない。


「妾を受け入れてみよ」


【クイーン】はヒューイを狙った時とは違い、両手を広げながら走り出した。まるで愛しの人を抱き締めるような狂気に見えてくる。


「させるわけがない。前回は助けられなかった。二人のためだとか、そこまで私は人間が出来てないからな」


 その狂気を防いだのはマン。【クイーン】の前に立ち塞がり、抱き締めようとした両手を掴んだ。


「何だ? 妾相手に力比べをするつもりなのか?」


「そうだ。手四つ……力比べはこれでするのが常識だぞ」


 フィンガーロック。手四つはプロレスにある力比べ。マンは【クイーン】相手にそれを仕掛けた。


 けど、相手は災厄の獣。マンだったら……なんて淡い期待を持ったら駄目……と思ったけど、マンが【クイーン】を押してる。しかも、マンはマスクを着けた状態のまま。


「おおっ!! 力比べと言うだけはある」


 マンの力に【クイーン】の背中はくの字になっていくのに、余裕を見せてる。


「ニ割」


【クイーン】のその声で、背が元の位置まで戻っていく。


「三割」


 マンと【クイーン】の立場が逆転して、マンは片膝をついた状態に。【クイーン】が口にしてるのは力の割合? 三割の力だけで、マンを圧倒してるの!?


「妾はまだ半分も力を出しておらぬぞ。もっと楽しませてくれぬのか?」


「マスクを脱がせないと……力が十分に発揮出来ないんだから」


【クイーン】と手四つの状態だと、マン自身でマスクを脱ぐのは無理。私がマンがどうにかするしか……


「お主……獣人ではなかったのか? それを取るだけで、力が変わるのであれば、試してみようではないか」


 私の言葉が【クイーン】の耳に届いていて、マンが被っていたライオンマスクを尻尾で破り捨てた。


「ライオンマスクが!! うおおおっ!!」


 マンはお気に入りのマスクを【クイーン】に破られた事で怒り、五分まで持ち直した。


「おおっ!! おおっ!! 不完全な姿だとはいえ、人間ふぜいが、妾の半分の力を出させるとはな」


「うおっ!!」


【クイーン】は四割を飛ばして、半分の力を発揮。それだけで、手四つからマンを持ち上げ、地面に叩きつけた。


 力の差は歴然。マンがパンツを脱いだとしても、その差は埋まらない気がする。


 ここから挽回するのはほぼ不可能……と思ったのに、マンは立ち上がっただけじゃなく、再度【クイーン】を押し返していく。マンがパンツを脱いだわけじゃない。【火事場の馬鹿力】みたいなスキルが発動したわけでもない。


「どういう事だ? 妾の体が命令に抗おうとしている。これは一体……」


【クイーン】自身が何が起きたのかを把握してないみたい。彼女を弱体化した理由がきっとあるはず……

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