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クイーン復活

「ボスゴリラが変身した姿……じゃないよね」


 あれがボスゴリラの変身後でなければ、考えられるのは一つしかない。少女の姿とはいえ、人の姿をした獣とも見えるわけで……


「妾が眠る場所に汚い物を流したのはお前達か。醜い者や女、バナナを落としたのは許そう。少しは妾の糧となるからな」


 少女は言葉を発した。咎人は私達の言葉を話せなかった。つまり、ボスゴリラ説は消えた。それに穴の中に落とされた物を把握してるという事は……


「だが、アレは妾も許さぬ。完全ではなく、不出来な姿であれど、妾の顔を泥以上の物で汚した罰は受けさせなければならぬ」


 少女が金色の目を開けた途端、体全身が震え上がるのが分かった。これは【ナイトメア】と遭遇した時と同じ感覚。圧倒的な強さによる威圧。


「……間違いない。あの威圧は【ナイトメア】と同じ。人に似た姿をしていても、奴は災厄の獣の一匹【クイーン】だろうね」


「だろうな。私もそれを感じたぞ」


【ナイトメア】も本来の姿じゃなかったはず。不完全な状態でこれだからね。こっちとしてはたまったもんじゃないから!! しかも、今回は千城院さん……千がいない状態で災厄の獣を相手にしないと駄目なんだから。


「汚い物って……パンツとかなら、アンタの手下達が捨てたものでしょ。文句があるなら、逃げ出した咎人達に言いなさいよ」


 紅は相手が災厄の獣でも言い返してる。【クイーン】が怒ってるのは、ヒューイが脱がされたパンツじゃなくて……これに関してはヒューイだけじゃなく、モモも黙秘してる。それは主を危険に晒す事になるか……


「手下? 妾にそのような者達をおらぬ。必要ない。欲するのはつがい、番との子のみ。番は妾よりも秀でた力を持たなければならぬ」


 イケメンや伴侶と言葉は違うけど、【クイーン】が求めてるのは秀でた男。


「この臭いは……そこの男は妾の番候補か? いや……妾を汚した者か?」


【クイーン】はヒューイを指差した。ヒューイの髪は捧げられたはずだし、汚したのもそうだけど……


「どちらでも良いか。妾の攻撃に耐えるのであれば、番として認めよう。そうでなければ……」


【クイーン】の標的がヒューイになったけど、見殺しする事なんて出来ない。【救出作戦】のクエストも失敗に終わってしまう。


「アンタ達は逃げなさい。私達で【クイーン】を足止めするからさ。さっきので【アーツ】を使い果たしたし、先陣は私が切るから。どれだけ保つかは分からないけど……」


 紅も同じ事を思ったみたいで、ヒューイとモモを【クイーン】から逃がすつもりだ。私達は死んだとしても復活出来るけど、NPCの二人はどちらか判断がつかない。


【クイーン】が復活した以上、ある意味役割を果たした形になって……


「すみません……恐怖で足が……」


 モモは【クイーン】の威圧で腰が砕けた状態になってる。冒険者である私や紅でも体の震えが止まらないんだから仕方ない。これを【ヒール】で回復するのも無理だと思う。


【クイーン】は私達が動けないのが分かってるのか、ゆっくりと歩いてくる。


「……二人同時に仕掛けよう。モモ達が回復する時間までは保たせる」


「ふん……仕方ないわね。それに乗ってあげるわよ」


 私と紅は同時に【クイーン】へ攻撃を仕掛ける。災厄の獣相手だと、回復する余裕があるかどうか分からない。なら、少しでも奴の動きをマンに見せた方がいい。


「待て!! 余のためにカズハが命をかける事は」


 ヒューイは私達の行動を止める声が聞こえたけど、そこに従うのは無理だから。

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