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パンツを履いてください


「そろそろ、森の出口だな。【アイン】の街が見えてきたぞ」


【嘆きの森】の出口が【アイン】の街と繋がってるらしく、大きな門が見えてきた。プレイヤー達が最初に集まる場所だから、大きい街なんだと思う。


 マンと一緒に行動する事になって三十分。三十分といっても現実の時間で、【ユニユニ】の世界では一時間半。時間の速さが三倍みたい。というのも、この世界で朝昼晩と体験させるためなのかも?


「へぇ〜……あれがそうなんだ。なんとか無事に着く事が出来そうだね。【アイン】に着いたら、今日のところは止めとこうかな。マンも色々と教えてくれて、ありがとう」


 ここまでの道中で、私はマンと【ユニユニ】の事を話した。例えば、【嘆きの森】で魔物と一度も遭遇する事はなかったんだけど、ここに魔物が存在しないわけじゃないみたい。


 PKが許されてる場所でも、時間帯は決まってるらしくて、それ以外だと魔物が発生するらしい。現実と【ユニユニ】の時間が違う事もマンから教えて貰ったのよね。


 それと回復。戦闘中以外は少しずつだけど、怪我や痛みは回復していき、今では【ファイアボール】を【受け流し】をした事で、痺れていた手も治ってる。【ヒール】を試す機会だったけど、その事を忘れてたから……


 後は【ユニユニ】をはじめるきっかけ? 世間話的なやつをしたかな。流石に本名や年齢を聞く事はしなかったわね。


 私は憧れの人が【ユニユニ】をしてるのを知って、仲良くなるためと素直に話した。勿論、ここで千城院さんの名前を出すほど馬鹿じゃないから。


 マンの場合はストレス発散。色々とあるみたいで、VRの世界では自由を謳歌したいらしい。その反動が【漢】を選んだ理由なら、よっぽどの事でしょ。【漢】はある意味、開放的だとは思うけど……


「こんな時間だからな。明日に支障をきたすかもしれない。私も【ログアウト】した方がいいか」


【ユニユニ】の世界では昼の十二時だけど、こっちは午前二時。明日は大学があるし、マンの方も仕事があるのかもしれない。


「そうなると、街の中で解散かな。今日は本当に助かったから……って、ちょっと!?」


【アイン】の街に到着して、門を通り抜ける。私の場合は何もなかったのに、マンが通るのを門番が止めてるんだけど!!


「一体どうしたってわけ? 彼が何を」


「こんな怪しい奴を通すわけにはいかない。お帰りください」


 私が門番に理由を聞いたところ、最もな台詞が返ってきた。葉っぱでアソコを隠していても、全裸状態にかわりはないから……


「やはり駄目なのか。誰かと一緒なら、街に入る事が出来ると思ったのだが。一体何が原因……」


「履いてないからでしょ!! もしかして、一度も【アイン】に入った事はないわけ?」


「そうだな。この世界に入ったのも【嘆きの森】からだった」


 この姿だもんね。案内役の人も【アイン】から始まる選択肢を出さなかったのかも。


「この街のクエストをクリアしないと、先に進めないのに」


【MAP】情報で書かれてあったけど、【アイン】でクエストをクリアしないと、他の国に行く事が出来ない。このままだと、マンは全く先に進めないのよね。


「はぁ……マンは【ログアウト】するのは少し待って。すぐに戻ってくるから」


 助けて貰った身として、ここでマンを放置するのは忍びないし、理由があれなら、すぐに解決するはずだから。


 数分後……


「買ってきたよ。これしか無理だったけど、十分でしょ」


 街にいるNPCやプレイヤーに装備や道具を売ってる場所を聞いて、【木のステッキ】と【青のベール】を売る事で100GをGET。そのお金で唯一買えたのが【気合のブリーフ】。買うのが恥ずかしかったけど、そこは我慢したんだから。


「……あれ? 渡す事が出来ないんだけど」


【気合のブリーフ】を渡そうにも拒否される。といっても、マンが嫌がってるわけじゃない。その時、目の前に文字が表示された。


<道具の受け渡し、交換はフレンドになる必要があります。【MENU】の【フレンド】を選択し、相手の方へ向いてください。互いが了承すれば完了です>


「道具の受け渡しにはフレンドになる必要があるみたいなんだけど、私とフレンドになっても大丈夫?」


「私のためなんだろ? 勿論だ」


 マンの了承を得たところで、【フレンド】を選択。そして、マンが私の最初のフレンドになった。フレンドになれば、相手の【職業】【アーツ】【スキル】の情報も分かるみたい。


 それを知るよりも先に……


「街の中に入るんでしょ。そのためにもパンツを履かないと駄目だからね」

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 一目引くタイトルとインパクト抜群なキャラクター、それに設定もよく練られていて物語の導入としては非常に楽しめる内容だと思います。 個人的にはプロテインを持つ初心者…
[良い点]  パンイチで街に入れる……のか?  まあ、裸よりはマシですね。マシなんだけど。  思わず笑っちゃいますね。流石です!  
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