憧れのシチュエーション?
女性なら一度は憧れた事があるんじゃないかな? ピンチの時に颯爽と現れる白馬の王子様とか、正義のヒーローに。身を呈してまで、悪党から守ってくれる。そんな少女漫画やドラマなんかであるシチュエーション。
現実でそんな事が起きるなんて滅多にない……ありえないと言っても過言じゃないはず。だけど、VRゲーム【ユニーク・ユニオン・オンライン】、通称【ユニユニ】の中だと話は別みたい。
薄暗い、見知らぬ森の中に放り込まれ、操作もままならない状態。そんな時に登場したのは悪役のプレイヤー達。執拗に追い掛けてくるだけじゃなくて、攻撃を仕掛けてくるとか、悪党以外の何者でもないでしょ?
地図はあるにしても、流石に土地勘もなく、動きにくい森の中。ゲーム初心者の私が逃げ切る事なんて出来るはずもなく……木の根が邪魔をして、転んでしまったの。
これで終わりだと、殺されるんだと、私は目を閉じるわけよ。誰かが私の前に立ったのは分かったけど、全然痛みが来なくて、逆に男達の断末魔の叫びが響き渡り、更には『・・』という捨て台詞を吐いて、逃げ去る音が……
誰かが私を助けてくれた? まさか、正義のヒーロー……あの人だったら……と、恐る恐る目を開けてみたの。
煌めくマントに凛々しい背中が私の目に……だったら良かったんだけど、引き締まったお尻が目の前にあって、見上げてみると全裸の男、白馬の王子様じゃなくて、裸の王子様だった……なんて予想出来る?
二人が『変態』と逃げて行ったのも納得。助けてくれたのは正義のヒーローなんかじゃなく、ある意味魔物よりも酷い……
私がこんな目に……じゃなくて、VRゲーム初心者の私が【ユニユニ】をやる事になったのも理由……それは少し時間を遡ってみたら分かるわけで……