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短編とかその他

死んだように生きる男

作者: リィズ・ブランディシュカ



 はじまりは数年前に起こって。

 そこで全てが展開されて。

 そしてそこで全部が終わった。

 これは、続きなどではない。

 ただ空虚をつづっただけの人生だ。




 死んだように生きる。


 生きているようには思えないから。


 ずっと死んだように生きている。


 生きる目的が見つからなくて。


 生き続ける理由も分からない。


 だから生きていたくないのに、生き続ける事を絶えず強制されている。


 生きていくのが苦痛なのに、生かされ続けている。


 あの日、全てをなくしたのに。


 家族も、友人も、財産も、信頼も。


 安全なはずの家に侵入してきた男。


 反撃したら、あっけなく死んだ。


 まるで俺が狂暴な人間だったかのような、そんな傷跡をさらして。


 そうしたら、全ての世界が終わった。


 そこで終わりが始まって、一瞬で全てが無に帰した。


 ここにあるのは虚無。


 何もない人生だ。


 一つの罪だけを残していくなんて、勝手な加害者もいたものだ。


 世間は冷たい。


 この体にはとっくに、温もりを感じる機能なんてないけれども。


 あいかわらず、かわらずに、かわることなく、冷たい。


 間違えた人間は、ずっと間違え続けるから。


 このアリジゴクからのぼってこないでほしいと、蹴落とされる。


 もがいてももがいても、砂は体に絡まり続ける。


 だからもういっそ楽にしてくれ誰か。


 そう願うのに。


 いつも生きる事を強制され続けている。


 ベッドの上で目覚めるたびに、思う。


 薬の入った小瓶はどこだ。


 この体に突き立てる得物はどこだ。


 明日この世界の方が終わってくれないかな。


 みんなの方が、この世界から消えてくれないかな。


 だって、こっちは終われない。


 どうやっても終われない。


 終わってしまっているのに、終われない。


 自然に体が砂の海に沈むのを待つなんて、無駄すぎる。


 これはもうすでに虚無なのに。


 今すぐ終われないなら、そちらの方が終わってくれ。


 正しいものは正しく在り続ける事を求められて。


 間違っているものは間違っている事を強いられ続けるこの世界なんて。


 ただ、今すぐ、すべてがただ終わってくれよ。



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