ライライラ その1
リトバスのやりこみ要素が熱い
色んな所を見学して時間をねじり潰した俺たちは食堂に来ていた。
ライライラと合流するためだ。
食堂の中にはお店のようなものが多数あり、規模の大きさがわかる。
さすが都会のでかい学院だ。
「おーいみなさーん! こっちですよ~!」
食堂の端っこの席でライライラが手を振っていた。
俺たちは呼ばれた席へ座る。
席にはもう料理が並んでいた。
ライライラが俺たちの分も注文してくれていたらしい。
やさしい。
「さあ座ってください。今日のおすすめらしいですよ」
「よっこらせ」
「おっさんかよ」
2人ずつ向かい合って座る。
俺の隣にはウィンディ。
前にはライライラだ。
すると目の前にはオムライスがあった。
久しぶりにちゃんとしたごはんにありつけるぜ。
「マスターこの料理はなんていうんですか?」
生まれたばかりの精霊であるウィンディにはオムライスが珍しいのか、無垢な瞳を向けそう聞いてきた。
ここはちょっとした主人としての威厳を示すとき。
「知らないのか? オムライスっていうんだぜ?」
「すごい。マスターはものしりですね」
「あ、うん……」
ウィンディは悟りを開いたような優しい顔で俺を褒めたたえてくれた。
なみだがつうっと頬をつたっていく。
「どうして泣いているんですか?」
「早起きしたからかな……」
ウィンディが俺の涙をそっと指ですくってくれた。
やさしい。
「どうでしたみなさん? 良い学院だったでしょ?」
オムライスをたんのうしつつ合間に話題を振ってくるライラなんとかさん。
「そうだな! 高そうなものがいっぱいあったぜ!」
ベルが目を金にしてそう言った。
金しか見えてねえ!
「それはそうですよ! 国内最高峰の学び舎ですから。リッチなんです」
確かに見るもの全てが手の込んだインテリアだった。
こんなところに通っているのだから、もしかしたらライライラもいいとこのお嬢さんなのかもしれない。
しかし料理上手と来た……妙だな。
昼食を食べ終えた俺たちはまた学院をブラブラしていた。
すると、広い競技場のようなところでわんさか人だかりができているのが見えた。
一体何を盛り上がっているのだろうか。
「ライライラ、あそこですげえ歓声が聞こえるけどなにか催しものでもやってるのか?」
俺は気になったので質問してみた。
「フッ、気づいてしまいましたか」
「?」
「あれは《バトルランキング》というものをやっているんです」
なんだか少年漫画みたいなことをやっているらしい。
「《バトルランキング》は一対一の真剣勝負。自分よりランクが高い人に勝負を挑み、勝てばその人のランクと入れ替わります。勝負方法は様々で対戦相手の同意により決定されるんです」
急に早口になったよこの人。
だがおもしろそうだ。
俺たちも近くで観戦してみる。
競技場の中ではストリートファイトが行われており、激しい肉弾戦が熱狂の渦を巻き起こしていた。
「やれー!」
「殺せー!」
観客もヒートアップし盛り上がりも最高だった。
こわい。
「とどめだ!」
「ぐわああああ」
「試合終了~!」
男Aのパンチが決まり、男Bがノックアウトされる。
勝者が片腕を上げると更なる歓声がフィールド中に響き渡る。
「おもしろそうだな……」
俺は無意識にそうこぼしていた。
「興味がおありですか? なら私のランクを差し上げますよ」
「え、おいおい……俺は部外者だぞ」
すっとんきょうなことを言い出したライライラに俺は呆れてしまう。
「《バトルランキング》は強さとランクがすべて……それがたとえ生徒でないとしても適応されます」
ガバガバすぎた。
「けどいいのか? ランクがなくなったらお前はもうバトル出来ないんだろ?」
「もともと興味本位で登録しただけですし、一向に構いませんよ」
そういうとライライラは俺にバッジみたいなのを渡してきた。
俺はそれを胸につける。
《バトルランキングに参加しました:現在のランクは99位です》
謎のナレーションと共に俺はバトルランキングに参加できるようになった。
「おい、てめえもバトルランカ―か?」
するといきなり挑戦者らしき人が!!!
「ちっ、99位か……まあいい、100位の俺のスタートダッシュの踏み台になってもらうぜ」
そしていきなり突っ込んできた!!!
はやいよ!
勝負方法は同意がないといけないんじゃないの?
「くっ、南無三!!!」
「ぐわああああああ!!!?」
俺はとっさに手刀でみねうちする。
何とか勝利を収める。
「言い忘れましたが《バトルランキング》参加者は挑戦を拒めません。気を付けてくださいね」
「そんな気はした」
俺はこれから起こる波乱の戦いに戦々恐々するのであった。
「くっくっく……これで私の計画もようやく進めることが出来ますね……」
「何か言ったか?」
「いえ、なにも」
ライライラは1人で不敵な笑みを浮かべていた。
まあいつものことなのでどうでもいいだろう。
「よし! 俺はカードでお前に挑むぜ!」
「望むところだ!」
あれから順位を順調に伸ばしていった。
今は50位の相手と熱戦を繰り広げている。
「ふっはっは! フルハウス!!!」
「ファイブカード」
「」
「勝者~ケント選手~! 驚異の快進撃だ~!」
あっさりと勝利した俺のランクは50位へと繰り上がる。
試合を終えた俺はベルたちとハイタッチを交わしていく。
「やったなご主人様」
「ああ……ベルから教わったイカサマスキルのおかげさ」
「ええ……」
念密に練り上げた戦略で相手を打倒していく。
そしてやっと1位まで半分の地点までやってきた。
このまま止まらないかぎり道は続く……!
そして俺はまたさらなる闘争へと身を投じていくのであった。