一稼ぎの財宝
ゆるキャンってFF15と似てませんか
新たな仲間を加えた俺たちは和気藹々とキャンプをしていた。
俺はベルと一緒に荷物から道具を取り出していく。
「なあケント……こんなちゃんとしたキャンプ道具どこで手に入れたんだ?」
「チートだよ」
「あっ」
些事は置いといて、すっかり野宿も板についてきた俺は慣れた手つきでテントを建てていく。
今日のキャンプ場は湖の傍だ。
水は大事だからな。
「それでですね~」
「ふふっ……」
ウィンディとライライラは仲良く料理をしていた。
同性だと距離が近くなるのが早いな。
羨ましい限りだ。
「俺たちも負けてられないなベル」
「……?」
うさ耳をぴょこんと揺らしながらなんのこっちゃと言う顔をされた。
それはそう。
太陽が沈んでいく中、俺はすこしかなしい気分になりながら作業を進めるのであった。
焚き火をみんなで囲いながら談笑が起こっていた。
「このスープおいしいな! ライライラ!」
「いやあ、そうですかぁ! あっはっは!」
夕食になるとへとへとでお腹が空いていたのか、すごい勢いでライライラがつくったスープをかきこんでいくベル。
見ていて気持ちいいくらいの早食いだが消火に悪そうだ。
料理を褒められたラなんとかさんも尻尾を揺らしながら悶えていた。
きもっ。
「マスター、雑草もたべてください」
「すまんニクタリアンなんだ」
俺はウィンディから差し出された雑草を回避しながらスープをずずっと飲み込んでいく。
「えい」
「ぶっ」
だが回避しきれず雑草を突き刺したフォークを鼻に突っ込まれた。
いじめか?
いくら野菜が取れないからって雑草はないだろうが。
「で、これからどこにいくんだ?」
ベルが何気なくそう聞いてきた。
それは俺も知りたい。
「カラフルストーンも手に入ったし、私は学院に帰ろうかと思います」
いつの間にか鞄いっぱいにキラキラした石を詰め込んでいたそうな。
ぬかりのないやつだ。
食べ終わったのかお皿を地面に置いてライライラはそう言った。
「学院ってのはどこにあるん?」
「王都ネイバーランドですよ。結構有名なはずなんですが……知らないんですか?」
不思議そうな顔でそう聞き返してきた。
なんだこいつ。
知識マウントか?
これだからインテリは……。
「マスター、王都と言うからにはカラフルストーンも高く売れる場所もあるのではないですか?」
「なるほど」
一理しかない。
「じゃあ一緒ですね! うれしいなあ!」
わーと両手を上げて喜ぶライライラ。
耳がぴょこぴょこ動いてて感情が高まっているのがわかる。
俺はウィンディの助言を信じ、王都へ行こうと心に決める。
「アタシもついていくぜ。ケント……!」
「ああ! ついでにこのメイド服を着てご主人様と呼びな!」
ベルの服装は採掘場でぼろぼろになっていたので代わりの服を渡す。
「着こなしたぜ金づ……ご主人様!」
ベルもやる気満々のようだ。
お金の匂いには人一倍敏感らしい。
「やはり変態か……」
渋い顔で俺をディスるライライラ。
うっせぇわ。
それから俺たちは王都ネイバーランドを目指した。
王都と言うからには都会なんだろう。
石の街並みがなつかしくなっていた。
ていうかここ王国なんだな初めて知ったぜ。
今日も今日とて道路を歩いていく。
「ご、ご……ごましお!」
「オレンジジュースだ」
「スイカです」
俺の前を行く女子三人は無邪気にしりとりなんてしていた。
仲いいねあなたたち。
ねえ、私も入れてよ。
しかし、しばらくして飽きたのかトークに変わっていった。
さみしい。
「あっ見えてきましたよ」
先頭を行っていたライライラがダッっと駆けだした。
遠くを指さしながらこっちに手を振っている。
元気だね。
俺はいつの間にか横にいたベルと苦笑する。
「王都かあなつかしいな」
「来たことあるのかベル?」
「いや、全然?」
何だコイツ……。
「でも昔は夢見たよ。田舎の出身だからね……都会に憧れたもんさ」
「ふーん……」
俺は逆に田舎の暮らしが気になっていた口だった。
隣の芝生は青いとはこのことか。
「たのしみですねマスター」
「まあな」
ウィンディが俺の首にぶら下がりながらニコニコ笑っていた。
痛い。
そして王都の門までやってきた!!!
よし!!!
門ではすごい人でいっぱいだった。
さすが都会だ。
東京レベルだぜ。
「すごいぎゅうぎゅうですね」
俺という肩車に乗りながら、ウィンディもさすがに初めて見る行列に目を丸くしていた。
とりあえず無事門をくぐった俺たち。
町の中はTHE異世界の街と言った感じだった。
「とりあえず金だなご主人様」
「え、うん……」
「では、私が案内しますよケントさん」
感慨に浸る間もなくベルに背中を押されライライラについていく。
もうすこしゆっくりしたいんだが。
しばらく通りを歩いていくとデカい建物が見えた。
「あそこです。商業ギルド本店です」
ライライラに案内されてついたのは市役所みたいな建物だった。
立派につくられていて現代に近いものを感じる。
「早速売るか」
意気揚々と建物に入る俺たち。
中では多くの人とカウンターには目利きが得意そうなおじさんがいた。
そしてここから加速するぜ。
「いらっしゃいませ。本日はどのような」
「ドン!!!!!!」
「なっ、これはカラフルストーン!? それもでかい!」
「しゅげえええええええ!!!!??」
「いくらだ?」
「ほっほっほ……これほど大きなものになりますと一千万はくだりませんな」
「売ります」
「まいど!」
おどろくほどすんなり一千万をゲットしたぜ!!!
やった!!!
大金が入った袋を背負って喜びもひとしおだ。
「さあ次はどうするみんな!?」
その勢いのまま俺は展開を求めた。
「それなら私の学院に来ませんか!」
「……!ライなんとかの姉貴……!」
ここでさらに渡り舟を出すライライラ。
さすが最初のヒロインだぜ! ここぞという時に頼りになるキャットなウーマンだった。
「じゃあ行くぜみんな!」
「「「応ッ!」」」
さらなる展開を求め俺たちは石畳の街を駆けだした。
越えていけ……己が信念の旗の下―――!!!