カラフルストーンの閃光
ファンタジーと言えばドラクエ
カラフルストーン採掘場へと侵入した俺たち。
中は意外にもそこら中に置かれたランプとたいまつの明かりで満たされていた。
入り組んだ迷路のような道を進んでいく。
てくてく歩きながら視線を周囲に向けてみる。
壁や地面には色鮮やかなキラキラとした石の破片が埋まっていた。
ウィンディやライライラも目をキラキラさせながら観察している様子だった。
「キレイだな」
「そうですね! でも本物はもっと大きいですよ」
「へー」
とりとめのない会話をしながら探検していく。
途中、モンスターとエンカウントするがさしたる問題ではなかった。
だが、結構奥へ来たはずなのに人っ子一人見つからない。
「ここらでヒロインの1人出てきてもいいはずなんだが……無駄足だったか」
「しんじゃったんじゃないのぉ~?」
縁起でもないことをウィンディが言い出した。
だがその説が濃厚なのも否定できない。
「大丈夫ですよ。ちゃんとしたカラフルストーンは高く売れますし、ヒロインも出てきそうな気がします」
「わかるのか?」
「魔学者ですからね」
魔学とはかくも万能なのだな。
だが金と女を同時にゲットできるのはありがたい。
「キャー助けて~!」
「ほら、噂をすればですよ」
「マ?」
ホントに助けを求める女の子の声がしたんだけど!
すげぇ。
「行くぞみんな!」
「応ッ」
俺たちは走って迷路を進む。
だが目の前にはでっかいキラキラした赤い石が立ちふさがっていた。
「な、カラフルストーンだらけで進めねえ!」
「同じ色の石をくっつけると魔学反応を起こして砕け散りますよ!」
「〇ラクエ7!?」
言われた通りそこら辺の赤い石を押して赤い石にくっつけた。
するとドカーンという爆発と共にパリーンと砕け散っていく。
貴重な鉱物をいいのだろうか。
宝石になるのではなかったのか。
そういう謎解きパズル要素が俺たちの行方を阻んだがIQ∞の俺には造作も無かった。
「くっ。来るなよ化け物!」
「ぐへへへ…」
「ゴブ……」
進んだ先では今にも薄い本のように美少女へととびかかろうとしているモンスターたち。
金髪セミロングうさ耳少女へとじりじりと距離を詰めている……
……のを俺たちは隠れながら見ていた。
広い空間の中には巨大なカラフルストーンがいっぱい生えている。
あれがライライラのいう本物なのだろう。
「押せっ……押せっ……」
「マ、マスター?」
「ケントさん……いつ行くんですか?」
「やれっ……! やれっ……!」
しかし!!! たぶん見た目が雑魚と違って強そうでボスっぽいので気を伺うしかなかった。
ぐっすまない、やるだけのことはやったんだが……。
「ゲヘヘヘ」
「ゴブブブブ」
「ひっ」
あっ、今にも美少女が襲われちゃう!
「ケントさんあの人二重の意味で食べられちゃいますよ!」
「マスター!」
「誰か助けてえっ……!」
モンスターの舌が美少女の体を這う。
エロ同人みたいに!
「ケントさんッ!」
「ああ……っ」
頼む、静かに……!
「はよいけ」
「ぎゃああああ!」
しびれを切らしたのであろうライライラに蹴り飛ばされてモンスターの前に躍り出る。
「! 誰!?」
「ゴブ?」
「ぐへ?」
一斉に場の注目を浴びるオレ。
なんだろう、伝説な気がする。
とりあえず突っ込むぜ。
「うおおおおおおおお!!!」
「ギャアア」
「ギャアア」
俺はモンスターたちをラリアットで押し出す。
そして少し後ろを向いてライライラにアイコンタクトを送る。
「はい! さあこっちへ」
「たすかる」
ライライラはうさ耳美少女を安全地帯へ連れていった。
意図が伝わったのを見て俺はモンスターたちをその勢いのままぶん投げる。
びたーんと壁に張り付くモンスターたち。
「よしウィンディ! はっぱカッター!」
「は、はっぱ?」
俺の意味不明の命令に髪の毛で?マークを浮かべるウィンディ。
違う! そうじゃないぞ俺!
「魔法だ!」
「はい!」
ゴオオオオオと風の刃がモンスターを切りつけていく。
大ダメージだ!!!
「ぐへ……」
「ゴブゥ……」
だが、わずかにライフが残ったのかこっちへ向かって反撃してくる。
「な、あれだけの攻撃を受けて立ち上がるのか!」
俺は今までワンパンで倒してきたモンスターしか知らないので戦慄した。
井の中の蛙大海を知らずとはこのことだった。
「ウィン……」
「だめですわざポイントが切れました!」
「やっぱ〇ケモンじゃん!」
万事休すか……。
早かったな俺の死も。
「ケントさん! カラフルストーンです!」
その時、安全なところから俺に声を飛ばしてくるライなんとかさん。
「ライライラ……? ハッ!」
そうか、その手があったか。
俺は緑色のめっちゃでかいカラフルストーンを二つ持ち上げ
あの二体へと投げた。
放物線を描きモンスターへ2つともごっつんこした。
するとどうだ。
パチパチとスパークしながら次に激しい爆発を起こした。
大きさが大きさだけに、エネルギーが今までのものとは比べものにならない。
空間が震えていた。
「ギャアア!!!」
「ギャアアア!!!」
爆発による衝撃で致命傷を負うモンスターたち。
やったぜ!!!
絶命したのを確認して俺とウィンディは残りの2人と合流する
「助かったぜライライラ」
「これが魔学の力です」
魔学万能すぎる。
だが、仲間が誰一人かけてもこの戦いは勝てなかっただろう。
「助かったよアンタら」
「ああ。何、気にすることは無い」
「旅は道連れ世は情けっていうじゃないですか」
「はい」
ぺこりと頭を下げて感謝してくるうさ耳。
だが、俺たちは当然のことをしたまでだ。
「しかしどうして一人でこんなところに?」
「ああ。カラフルストーンの大きいものは高く売れるって聞いて……」
世の中やはり金!
みんな考えることは同じだった。
「女の子1人で危ないことしちゃだめだぜ」
「うっ」
思うところもあるのか俺の説教をうさ耳金髪セミロング美少女は黙って受け止めていた。
「ほかのひとは逃げだしてもおひとりで採掘をつづけていたんですね」
ウィンディが周りを見渡してそう言った。
よく見れば慌てて人が逃げ出したような痕跡がいっぱいあった。
そこまでして金が必要な理由があるんだろうか。
「うう……金があればなんでも買えるんだ……それが人の命でも……」
涙を流しながらポツリとそう言葉をこぼした。
なんか重そうな理由だった。
膝をついてうずくまるパツキン美少女。
その時―――。
ゴゴゴゴゴ!!!と激しい揺れが起こった。
「な、なんだ!」
「さっきの爆発がまずかったんですよきっと!」
やっぱりか。
そんな気がした。
「立て! 女ァ!」
「あっ……」
とりあえず俺はありったけのカラフルストーンを背負って美少女の手を引くと俺たちは外へと走ったのであった。
「危ないところでしたね」
ぜぇぜぇと息を切らしながらライライラがそう言った。
鉱山の方を見るともうなんか崩落した感じだった。
未だにうつむいて元気がないうさ耳女。
「なあ、お前……名前は?」
「……ベル」
「ヴェルサス?」
「あ?」
「ごめん聞き間違えた」
とりあえず名前を聞き出してみた。
ベルか。
どうぶつの通貨かな?
「良い名前じゃないか」
「ありがとう」
名前を褒めると少し明るい顔になった。
好感度が上がったようだ。
「俺は剣崎健斗。どうだ? このカラフルストーンを売りさばいて俺は金持ちになる予定なんだが?」
「一生どこへでもついて行きます!!!」
ベルは目を¥マークにして俺にすがりついた。
頬を足に擦り付けてくる。
ええ……。
「ゆかいななかまがふぇぇましたねマスター」
「フッ、そうだな?」
相棒と2人感慨? に浸る。
かくして俺たちの冒険の序章は幕を閉じた。
これから俺たちにどんな展開が待っているのか……神のみぞ知るといったところか。