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リユニオン(前編)

某APEXでマスティフ弱体化によりサブにハンポP20はアリだなと最近思いました。

「ククク……遂に完成しました」


 薄暗い研究室でライライラは笑っていた。

淡く光を放つ大きくて透明なポッドの中には少女がぷかぷかと浮かんでいる。


 それがあと数十台あり、異様な光景が広がっていた。


 狂気の目でそれらを見渡す彼女の表情は、まさにマッドサイエンティストという名が相応しい。


「さぁ、始めましょう……お母さん……」


 その中でもひときわ大きいポッドに顔を摺り寄せながら、恍惚とした表情でそうつぶやく。


「私たちの……復讐を」


 パチン、とライライラが指を鳴らした瞬間、ポッドの中の少女たちが一斉に目覚めた。


 その瞳は深淵を除いているかの如く、どす黒く濁っていた……。

 





「キャー! 助けて!」


「死にたくなーい!」


 王都を駆ける群衆の悲痛な声が入り乱れる。

爆炎と轟音が絶えず鳴り響いていた。


「ベル、状況はどうなっていますか?」


 王都の商業区に建つ魔法処レイレイ。


 その店の店主レイレイは魔導具を用いて会話をしていた。


『どうもこうもないさ! あいつ早まりやがった……! アンタももうわかってんだろ!』


「それは……そうアルが」


 レイレイは焦っていた。

自分では止められないと感じていたが、心の奥では淡い可能性を見ていた。


 学院から大きな爆発が起こった。

それを皮切りに街のあちこちで悲鳴が聞こえ始めたのだ。


 突如現れた少女の形をしたモンスターたちが人々を襲っているという。


 それがどういう存在か、レイレイにはあたりがついていた。


「本当に人の手で精霊を作り上げるなんて……誰も思わないアル」


 舌打ちに近い心情をこぼす。


『で、どうする? アタシはもう関わりたくないんだけど……』


「何いってるアル、この店まで壊れてしまっては薬は作れなくなるアルよ」


『ぐっ……そうだよなぁ』


 逃げ腰の使いをたしなめ、どうすればいいか思考を再開する。

自信の持つ力ではどうにかできるとは言い難い。


 と、その時レイレイにピシャーンと電流走る。


「……! ベル、今すぐ王都の門まで行くアル」


『は? なんだよどういうことだ?』


 魔導具の向こうでポカンと疑問符を浮かべているベル。


「仕込んでいた駒がやってきたアルよ」


 ニヤリと悪だくみをしていそうな笑みを浮かべながらレイレイはそう言った。


『うげ……お、おいアタシがどういうことしたか知ってるだろう?』


「それは自業自得アル。今は彼らと協力してあの娘を止めるしかないアル」


『ま、マジか……』


 意気消沈とするベルを何とか説得し、通話を切る。

レイレイも店を出てとある場所を目指すのであった。








 王都についた俺たちはその光景に驚愕していた。


 あちこちから火の手が上がり、謎のモンスターが人々を襲っていた。

どこからも聞こえてくる悲鳴。


 どうやら一足遅かったようだ。


「うおおおおお!!!」


 俺は今にもやられそうな一般人の前に立ち、モンスターと向かい合う。

よく見ればそれはモンスターというにはあまりにも人の形をしすぎていた。


「これも精霊なのか……!」


 自らと同じ存在ということはわかる。

だが、暴走した俺や黒くなったウィンディのような禍々しさも感じていた。


「フーコ、後ろの人たちを頼む!」


「うん! さあ、こっちへ……」


「あ、ありがとうございます」


 俺はフーコに人々を託すと、交戦を始めた。


「オラアアアアアアア!!!!」


「キャアアア!!!???」


 苦戦すると思われたがチートと精霊の力が合わさり最強になった俺の敵ではなかった!!! やったぜ!!!


「ふぅ……ん?」


 接戦を追え、一息ついていると物陰からぴょこんと誰かが出てきた。


 誰やねん。


「やるじゃん……よお、ひさしぶりだな」


「お、お前は……」


 うさぎの耳、金髪のセミロング。

見た目美少女のあの孤独なシルエットは……!


「アタシだよケント」


 かつての仲間……もとい、裏切り者のベルだった。


 クソウサ! 窃盗犯のクソウサじゃないか!

1000万の恨みは忘れていないぞ。


「てめぇ! よくも俺の前に顔を出せたな……」


 俺はさっそく魔法でぶちのめそうと腕を回した。


「ま、待てよ! 今はそういう場合じゃないんだ!」


 すると、命乞いとはまた別の焦り具合に、俺はなにごとかと話すのを促す。


「ライライラがついに計画を最終段階へと移したんだ……このままじゃ、王都どころか世界中がヤバい」


「う……」


 それはそう。

今はこいつに構っている暇などはないのだ。


 業腹ではあったが、渋々と手を下ろした。

でもぜってぇ許さねぇ!


「仕方ない、じゃあ俺は行く」


 振り返ってフーコを迎えに行こうとすると、ベルが俺の腕をつかんできた。

なんだ腹減りか? 昼寝でもしてろ


「そう焦るなって。アタシについてこい。ライライラのとこまで案内してやるさ」


「……」


「信じてくれよ、頼むよ」


 無言で睨んでいると、しおらしくそう頼み込んできたベル。

やれやれ、お話しになりませぬな。


「ことが終わったら何でもするから……!」


 今、なんでもって……!!!


「わかった。ガイドは頼む」


「ありがとう」


 即落ち2コマだった。

ボロ雑巾のようにして使い捨ててやるぜ!!!


「ケントくん! 大丈夫ですか!」


 などと時間を食っていると、人々の避難を終えたフーコが帰ってきた。

おかえり。


「ああ。そっちも無事でなによりだ」


「えへへ」


 えらい。

俺がフーコの頭を撫でてあげると、嬉しそうに笑った。


「……? その子は?」


 フーコと面識がないベルがそう聞いてきた。


「フーコだ。俺のご主人様だ」


「え」


「初めまして、ケントくんの犬です」


「え」


 無事、自己紹介を終えた俺たち。


 ベルが何か口を開けて驚いているようだったがさしたる問題ではない。

俺たちは目的地へと走るのであった。










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