ウィンディ その1
展開が来い
あれから一週間が過ぎた。
俺たちはゆるゆるキャンプしながら美味しいものを食べたり景色を楽しんで旅をしている。
湖や川で魚をつったり焼いて食べたりアウトドアって味わい深いんだなって初めて思った。
しかし、集落はあったものの、村や街というものにはいまだにお目にかかることができていなかった。
この異世界は広大で街から街へいくのは大変なことなのだとライライラが言っていた。
「じゃあなんで女一人で旅してんだよ?」
と聞いてみると。
「カラフルストーンってご存じですか?」
「いや?」
「とある鉱山で採れる色鮮やかな宝石なんですが、魔学者としてはぜひてにいれたいものがあるんです」
ライライラは魔学というものを勉強しているらしく、好奇心旺盛な彼女は無謀にもモンスター闊歩するワールドマップを一人で渡り歩いているという。
魔学とは何ぞや。
「でも、戦う力も持たずに旅をするのはきけんではありませんか?」
俺の肩の横をふわふわと浮かんでるウィンディが話に入ってきた。
「ウィンディのいう通りだぜ」
「うっ…」
自分でもあまりに無謀と感じたのか、シュンとうなだれるライライラ。
「昔からこうなんですよ。思い立ったらすぐに行動に移さないと落ち着かなくって……」
「ほう」
正直、俺は感心した。
確かに彼女はいささか危なっかしいが、思ったことをすぐに始められるフットワークの軽さは素直に見習いたいと思った。
「よく先生にも注意されちゃってて…」
「先生? 学生なのかやっぱ?」
「はい。まだ中等部二年ですけど」
「ふーん」
やはり俺の見立ては間違いなんかじゃなかった。
「で、そのカラフルなんとかはどこへ行けばあるんだ?」
「まさか……ついて来てくれるんですか?」
「ああ!」
特にやることもないから渡りに船だぜ!
目を輝かせて俺を見つめるライライラ。
「一生どこへでもついて行きます……!」
「いやついて行くのはこっちでね?」
あてもない旅に目的ができた俺たちはカラフルストーン採掘場へ向かうのであった。
「ここがカラフルストーン採掘場か」
俺たちは野を越え山を越えついに目的地へとたどり着いた。
見渡す限り土と岩に囲まれている。
土と砂の匂いが濃く公園の砂場を思い出すぜ。
しかし、見ればテントや簡易的な家みたいなのがちらほら建っている。
かなり人気のあった鉱山らしい。
周囲には採掘の道具であるつるはしや手押し車が転がっていた。
だが……。
「へんですね。風からは人のけはいがありません」
「ああ……どういうことなんだライライラ?」
俺とウィンディが怪しんでいると連れてきた張本人は指を頭に置いてぐるぐると考えている。
「うーん……こんな平日の朝に誰も働いてないなんてことがあるはず……」
「おいやめろ」
なんてこというんだクソガキが。
人の心が無いのか。
「っ、お二人とも、気をつけてください!」
だが、ウィンディが何かを感じ取ったのか、俺たちに危険を促してきた。
俺は即座に気を引き締める。
「鉱山の入り口の方をみてください……モンスターです!」
風の精霊ならではの能力なのか、レーダーと化したウィンディ。
ありがたい。
「ケントさん、もしかして」
「ああ。おそらく魔物に占領されているようだな」
どうしよう。
「どうする?」
ライライライに聞いてみた。
「え、助けに行きましょうよ」
なにいってだコイツみたいな顔をされた。
でも戦うのは俺なんですよね?
「やれやれ……」
俺はしぶしぶモンスターへと走り出した。
「えんごしますマスター」
ウィンディが風の魔法で俺を押し上げる。
それによりスピードが加速した。
たすかる。
「モンス~」
俺は突進してくるモンスターたちとすれちがいざまに手刀をスパッとスパパと叩き込んだ。
「ギャアアアアア」
「な、あれだけのモンスターをこうもあっさりあっさりと……!」
ライライなんとかさんが俺の獅子奮迅の活躍に大層驚いた様子だった。
さす俺。
戦いの余波でついた砂ぼこりを払いながら役立たずの元へ帰る。
「しかし、ウィンディもすごい力を持ってるな」
俺はさっきたすかった魔法が気になった。
まるで体が風になったかのようなスピードを体感した俺はそのすごさに驚いていた。
「精霊のちからのはんぶんは契約者の魔力に左右されます。これもマスターの魔力の高さゆえです」
ウィンディがどこからか眼鏡を取り出し博士みてーに解説してくれた。
つまり俺はすごい。
うおおおおおおおお!
俺は今最高に気持ちが良かった!!!
「それほどでもあるぜ! 相棒!」
「ありがってんしょうち!」
ウィンディと2人拳を突き合わせる。
これが真の仲間……!
「さすがです。お二人とも」
「ああ。さあ中へ行こう」
俺たちは人助けのため鉱山へと侵入するのであった。
ワクワクするぜ!