ものごっつテンプレートな婚約破棄
今回も婚約破棄ものです!
前回以上にテンプレになってます!
テンプレのおかげで私でも簡単に書いた事ないジャンルができるんです!
「おいおいおい、この国はテメエみたいなお嬢ちゃんが居ていい場所じゃねーんだよ」
パーティ会場の受付に向かう途中、スキンヘッドの大男が絡んできました。
この国の王子であり、私の婚約者であるリチャード様です。
「リチャード様、私がこの国に居てはいけないとはどういう事でしょうか」
「あーん?寝ぼけた事言ってるんじゃねえよ。この国は正しい資質を持った奴が運営していくんだよ。エリーを殺そうとする奴は婚約破棄して国外追放!」
「はあ」
なるほど。男爵令嬢のエリーさんに私が危害を加えたとの件で断罪しようという訳ですか。
しかし、それは私には覚えのない事。冤罪というやつだと反論してやりましょう。
「あの、私はエリーさんを傷つける様な真似はしてません。と言うか、エリーさんが襲われたという事も今初めて知りました」
「でたらめフカしてんじゃねえ!俺はエリーから直接話を聞いたんだぞ!」
リチャード様は私の言葉を聞く耳もたず。
どうだとばかりに口撃してきましたが、それはあまりにもお粗末でした。
「オラオラオラ!騎士団長の息子や宰相の息子も見ていたんだ、観念しな!」
親の権力を振り回しているだけの脇の甘い隙だらけの口撃は全く私にヒットしません。
と言うか弱すぎませんか?私が前世でプレイした乙女ゲームではリチャード様はこんなのよりずっと強かったはずです。
まあ、それについては後で考えるとして、そろそろ反撃しましょう。
私は左手でサインを出し、忠実なる使用人達を呼び寄せました。すると、使用人達の到着と共にパーティ参加者達がざわつき始めました。
「すげえ!あの子、無声量で二十人以上の使用人を呼び出したぞ!」
「リチャード様でも二階からお母さんを呼ぶ時ぐらいの大声を出して三人呼ぶのがやっとなのに!」
「一体何者なんだ!?」
私は普通の事をしただけなのに外野が騒がしいです。彼らのリアクションは無視して、私は使用人リーダーのピーターに証言を命じました。
「ピーター、事件の時の私のアリバイをお願い」
「ははーっ、二日前の放課後はお嬢様はずっとハープを練習しておりました!我々使用人達がそれを見ておりましたし、部屋の外からハープの音を聞いた者は無数にいるはずです!」
あまりにも完璧なアリバイ証言。パーティ会場にいる人々はほぼ全員私の味方になったでしょう。雰囲気でわかります。
「ふざけるなぁ!んな証言通るか!」
しかし、リチャード様は空気が読めなかったのか顔を真っ赤にして否定しました。
皆が白けた目でリチャード様を見ましが、やはりリチャード様は気付いていない様です。
「その証言、お前の言いなりになる奴しかお前を見てねえって事じゃねえか!
それに、ハープは誰が演奏しても音は変わらねーよ!
大体、事件の起きた時のアリバイを何ですぐ答えられるんだよ!さっき事件の事は初耳って言ったよなあ!?事件の起こった時間を何で知ってるんだよ!」
半狂乱になり、ものすごい早口で意味のわからない事をまくしたてるリチャード様に周囲はドン引きです。
これ以上長引かせても見苦しいだけですので、きっちり始末してあげましょう。私が左手をチョキにするとリチャード様の倍程の大男とモフモフ毛玉がリチャード様へと近づきます。
「お、オヤジぃ!それに魔帝国の!」
そう、原作ゲームプレイヤーなら誰もが知っている国王陛下と皇帝陛下。『迷ったら取り敢えずパーティに入れておくべき壊れオッサンズ』てす。
「話は全部聞かせてもらったぞ!勝手な理由で婚約破棄をして、さらに男爵令嬢などというゴミと結婚するだと!?」
「はーっ、やれやれ。この国の王太子はとんだ礼儀知らずの様だな」
「ま、待て!俺はそんな事言ってな...」
ダブル陛下に挟まれたリチャード様は顔面蒼白。本当に哀れですが全ては彼の愚かさが招いた事なので同情はせずフィニッシュです。私が手をパーにすると、ダブル陛下の口が大きく開き、リチャード様を必殺の間合いに捉えました。
「お前は継承権剥奪して辺境送りだー!!」
「君の悪評は社交界にすぐ広めるぞー!!」
キングブレスがリチャード様の王族バフを剥ぎ取り、追撃のエンペラーブレスが社会的オーバーキルを与えました。
「バカなぁ!真実の悪を撃ち貫くはずの俺がこんな黒確(どうみても犯人)の女にィ!ぐへっ!」
断末魔をあげながら辺境まで飛ばされていく無様なリチャード様。その姿が小さくなっていき完全に視界から消え去ると、会場内に大きな拍手が起こりました。
「やった!リチャードが辺境行きだわ!あいついつも私達を難破しにきてウザかったけど、これで自由に海賊ができるわ!」
「つーか、さっき出てきたのって国王陛下と皇帝陛下じゃね?どちらも一国に一人いるかいないかの希少種じゃねえか!」
「こ、皇帝だって!?それって確か国王の変異種で、この辺には生息していないはずだそ!!」
「何はともあれ助かったよ!俺達脅されて仕方なく証言したけど、最初からあんたの方を信じてたよ!」
あらあら、どうやらリチャード様は相当嫌われていたみたいですね。まあ、二度と私とは関わりにならないでしょうしどうでもいいのです。
そんな事よりも受付へ行かないと。リチャード様が邪魔をしたせいで、すっかり遅れてしまいました。
「すみません。出席カードの記入遅れましたー!」
ちょっとトラブルはあったけど、こうして私のパーティー登録は無事完了したのでした。
いかがですか?テンプレすぎてありきたりでしたか?テンプレだから安心でしたか?
感想お待ちしてます!でも答えにくい意見には今日食べたご飯の話を返信します!