表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

01 この主人公、異世界に飛ばされました。

のんびり書いていきます。

よろしくお願いいたします。

 片田舎にショッピングモールが新規オープンした。

 他に遊びに行くところがない田舎の若者が集まり、常に人がいる人気店になった。

 

 そんな田舎者の高校生である俺、「斎藤 和歩(さいとう かずほ)」は、暇さえあればこのショッピングモールに足を運んでいる。

 今日もいつものように店内をぶらついていると、フリースペースに、いかにも怪しい紺色のフードをかぶった婆さんが椅子に座っている。

 婆さんの横の机には、「占います」と書かれた立て札が置いてある。

 

「占いか...。」


 見慣れた店内に少し飽きていた俺は、軽い気持ちで占いの婆さんに声をかけた。

 

「占いってもらってもいいですか?」

「お...。 そうかい、そうかい。」


 婆さんはフードを少し上げて、俺の目を見た。

 ニヤリと笑った顔に、少し背筋がゾッとした。

 

「あんたさんなら、サービスで一回占ってやろう。 どうせ暇つぶしじゃろう。」

「ありがとうございます。 どうせ暇つぶしです。」


 俺は、ちょっと笑いながら婆さんの前の椅子に座った。

 フリースペースで占いをやっている人は日によって違って、いろんな占い師を見てきたが、この婆さんは初めて見た。

「お婆さんは、ここでやるのは初めてですか?」

「そうだね、このショッピングモールでは今日が初めてだね。 で、何を占ってほしいんだい?」


 婆さんはそう言うと、机の下から古そうな木札を1枚取り出した。

 

「うーん、ノリで声をかけたからちゃんと決めてなかったですね。」

「そうかい。 どれ、とりあえずあんたさんの運命力でも占ってやるかね。」


 聞き慣れない言葉に俺は首をかしげる。


「運命力? なんですそれ?」

「まあ、人がそれぞれ持っている運の強さだね。 運命力が高ければ物事がうまくいきやすいし、低ければその反対さ。」

「へぇ、なるほど。」


「ところで、あんたさんは右利きかい?」

「そうです。」

「じゃあ、左手を出しておくれ。」

「はい。」


 おれは左手を机の上に出した。

 婆さんは手相を見るように、手のひらをじっと見つめる。

 

「ほう、あんたさんはなかなかの運命力をお持ちのようだね。」


 その言葉を聞いて、俺は少しテンションが上った。

 

「マジっすか!? それって運がいいってことですよね。」

「まあ、普通よりは多いね。 ちょっとそのまま手を出しておいて。」


 婆さんはさっきの木札を、俺の左手の甲に軽く押し当てた。

 すると木札がぼんやりと光り、手の甲が少し熱くなった。

 

「ちょっ! なにこれ!?」


 俺はとっさに手を引こうとするが、婆さんに手首を握られた力が強く、動かせなかった。


「大丈夫だから、そのままにしてておくれ。」


 婆さんはそう言うと、甲の上の木札を手で覆い、更に押し付けてきた。

 

「あっっっっつ!!」


 火がついたような熱さを感じた瞬間、婆さんの力が緩まり、左手を振りほどいた。

 

「なにするんだよ!」

「大丈夫さ、手の甲を見てご覧。」


 左手の甲を見ると、「○」の中にローマ字の「C」を逆にしたマークと、その右側に「30295」の数字が、赤色の光で描かれていた。

 

「何だこれ!? おい、婆さん! 何をしたんだよ!」


 手で数字をこするが、消える様子がない。

 俺は婆さんの方に目を向けると、婆さんが急に光り始め、目が開けられないほど強くなった。

 

「その数字は運命力だよ。 運命力は大事にしなね。」


 婆さんの言葉の終わりとともに光が収まると、目の前にいた婆さんと机は消えていた。

 

「何だったんだ...?」


 左手の甲を見ると、運命力と言われた数字はまだ残っていた。

 

「運命力ってなんだ?」

 

 俺はまだ少しチカチカしている目で、周囲を見渡した。

 

「えっ...?」


 俺の周りには、さっきまでいたショッピングモールの店内とは、まるで違った様子が広がっていた。

もしよろしければ、下の☆の評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ