00 プロローグ
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『運』は、いたるところに漂っている。
運がいい人、運が悪い人、それは漂う運を捕えやすいか、逃しやすいかの違いである。
運は人に付くことで『運気』となる。
運が付け運気が上がり、運を逃せば運気は下がる。
付いた運気は、その者に取り込まれ、『運勢』として蓄積される。
人は何かを決断するときに、身に付いている運気を消費する。
消費した運気が多ければ多いほど、その決断がより良い結果をもたらす。
運気を消費するとき、蓄積された運勢からも運気が消費される。
しかし、運勢から消費される運気は、その時の人の気持ちとは裏腹に、とても重大な決断でも消費される運気が少ない場合もあれば、何気ない決断でも過大な運気を消費してしまう場合もある。
運勢は蓄積されればされるほど強くなり、運勢の強さはその者の『運命』を動かす力、すなわち『運命力』となる。
運命は常に運命力の大きさによって変化していく。
運命力が大きければ運を引き付け、運勢が蓄積されやすく、より良い運命となり、運命力が小さければ運に見放され、運命が悪くなる。
運命力が無くなり、運命が底を尽いてしまうと、
命運が尽きてその者は終わってしまう。
決められた運命などはなく、運命はその者の行い、決断によって常に変化していく。
片田舎の高校生である、『斎藤 和穂』は、これまでの人生を可もなく、不可もなくごく普通に生きてきた。
運が良いときもあれば、悪いときもあったが、宝くじが当たるような大きな幸運や、重大な事故のような大きな不運に見舞われることはなかった。
和穂は、自分の人生を、一生平凡な運命で送っていくと思っていた。
和穂自身もそんな平凡な人生を受け入れていた。
しかし、そんな平凡な人生が、ちょっとした決断の結果で大きく変化してしまう。