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歓楽街をつくる勇者

勇者 石動いするぎ

側近のサブ、マサは

自分達の縄張シマを見て回る。


商売シノギをするにしても

縄張がどんな状況なのか

分からなければ話にならない。


痩せた土地で農作物もあまり育たず、

人々は食うや食わずの生活を強いられており、

あまり豊かな地域とは言えない。


おそらくこれまでの戦乱が

招いた結果なのであろう。


「この世界にある五つの大きな都、

ちょうどその真ん中で

いいハブスポットにはなるんでしょうが、

海も川もないので

中々いい産業が育ったなかったのかもしれません」


マサは冷静にそう分析した。


「なるほどな……」


「でもスケ

結構いいのがいますね」


女好きでもあるサブは

そんなところばかりを見ている。


しかしそれはヒントにもなった。


-


勇者はまた悪い顔をして

何かを企んでいる。


「とくれば、

女とギャンブルだな、

もちろん酒もな」


「よしっ、ここを

ラスベガスにするぞ」


「サブ、お前は

風俗はじめる準備しろ


女集めて来い


さすがに攫って来るのは

ダメだからな」


「でも兄貴、

宗教被れのここの女達が

集まって来ますかね?」


「馬鹿野郎、

飯も食えずにひもじい思いしてるよりは、

美味うまい飯食えた方が

女だって喜ぶに決まってんだろっ


家族にだって

美味い飯食わせてやれるんだ、

泣いて喜ぶんじゃねえのか」


まぁそこはそれぞれの

価値判断基準であるとしか言いようがない、

しかしそれぐらい

困窮しているのもまた事実。


「サブ、お前は

賭場開く段取り組め」


「とりあえず

ここに金を集めて、

金を回せばそれでいい、

それでなんとかなるだろ」


この異世界もまた

娯楽というのが極端に少ない、

日々生きることに

精一杯だったのであろう。


そこに刺激溢れる娯楽の街、

歓楽街をつくれば人が集まり

お金を落として行ってくれる筈、

金は天下の回り物作戦

とでも言うべきなのか。


特にギャンブルに嵌る人間というのを

よく見て来た彼等からすれば、

この世界でも絶対流行るという確信があった。


金が無い者ですら

ギャンブルをして

さらに金を失くすというのが

ギャンブルの恐ろしさ。


資金さえ貯まれば

そうした者達を相手に

高利貸しをはじめることも

出来るかもしれない。


勇者はそんな画を描いており、

自分の配下にあるマフィアの構成員総出で

歓楽街をつくる計画を実行する。


初めは小規模なものであったが、

儲けが出るようになり

それなりの投資が出来るようになると

どんどん歓楽街の規模は

大きなものになって行った。


-


神を信仰し、

慎ましい暮らしを送っていた女達も、

今ではすっかり夜の女へと変貌を遂げている。


「ちょっと、勇さん、

聞いておくれよ、

あたしの大事な太客が

サキュバスの泥棒猫に

取られちまったんだよ」


「なに、

そいつはいけねえな」


「おうっ、サブ、兵隊集めろ、

サキュバスって奴等のとこに

カチコミすんぞっ」


さすがマフィアの人間、

自分のところのシノギを

邪魔する者には容赦がない。


しまいには

サキュバス達を傘下に入れて

自分達の店で働かせる始末。


「兄貴、ついでなんで

インキュバスって野郎達も

傘下にしておきましたぜ


貴族の腐れマダム相手の男娼にゃ

ちょうどいいですぜ」


妙なところで

異世界らしさは残ってはいるが

やってることは人間世界で

マフィアの組織が

やっていたこととほぼ同じ。



ギャンブルに関しては、

大方の予想通り

ダメ人間の大量生産に大きく貢献し、

貴族から無一文に転落した者や

そもそも金が無いのに

さらに金を失い、

奴隷商に売られて行く者が続出した。


「所詮、人間なんざ

何かに依存しなきゃ

生きていけない体質なんだよ


神に依存するのか、

ギャンブルに依存するのか、

酒やクスリに依存するのか

それとも金なのか、

依存する対象が違うだけで

やってることは同じだ、

変わらねえんだ」


多額の借金を返済出来ずに

奴隷商に連れて行かれる者達を

見ながら勇者はそう言った。


彼もまた力に依存して

生きているのであろうか。



いいのか悪いのかは置いておいて

それでも観光娯楽産業、風俗産業という

産業の柱が出来て、

この地域自体は栄えて行くことになる。






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