従者
見慣れない土地を下る。
拾われた命を大義名分の為に鬼の討伐へ向かうのだ。
腰に下げたきびだんごは絶妙な刺激臭が鼻をつく。
これ、腐ってるんじゃなかろうか……。
折角頂いたものだ。
大事にしよう取って置いたのが裏目に出たのだろうか……?
まぁいいか。
しかし意気揚々と飛び出したが良いが、本来の目的地には甚だ検討もつかない。
そんな事を思っているとふと気配を感じた。
「きぃぃぃぃ!!」
猿の様な一頭身の生物が現れた。
その鼻は豚の様に突き出し、素早く木々を渡り吠え散らかしている。
これが噂に聞く妖か。
どうやら奴らの縄張りに入ってしまった様だ。
続々と現れる猿の様な豚の様な妖にあっという間に取り囲まれてしまった。
こうなってしまったらやるしかない。
覚悟を決めると腰下げたきびだんごをねちょりと掴んだ。
「でりやぁぁあああ!!」
そしてぶん投げるとその妖の口の中に放り込む。
「きゃきゃきゃ……きゃ……きぃ…」
そうすれば奇声を上げながら暴れ、やがて気絶した。
「よし、掛かってこい」
それを機に大乱闘が始まった。
正々堂々の殴り合いだ。
「らぁぁぁ!」
「きぃぃぃ」
粗方倒し終えると一際大きなガタイの奴が現れた。
どうやらこいつがここのボスの様だ。
「ぎぎぃぃぃ」
ボス猿が現われると周りの小物共が下がって行く。
タイマン勝負がご所望という事か。
望むところだ。
「行くぞ!」
そして示しを合わせたかの様に同時に飛びかかった。
それからは猛烈な殴り合い。
熱い熱い戦いだった。
壮絶な打撃の応酬の末、相打ち気味に入るカウンター。
バタリ。
砂煙を上げ崩れ落ちたのは──
ボス猿の方だった。
俺は背を向けてこの地を後にする。
が──
なんとボス猿が起き上がり仲間になりたそうにこちらを見ている。
仲間にしますか?
▶︎はい
いいえ
背後には嬉しそうに着いてくるボス猿の姿があった。
こうして新たな仲間を手に入れた。
ーーーーーーー
知らない土地をただ闇雲に歩く。
背後を守るのは新たに仲間になったボス猿。
常に怒っているかの様な顔つきなのでイカリザルと名付けた。
愛称はイカリンだ。
そしてひと気のない道無き道を歩いていると──
倒れ伏したハイエナの様な生物が現れた。
「くぅぅん」
どうやらお腹を空かせた倒れ伏していた様だ。
腰に下げたきびだんごに反応をしたのがその証拠だ。
仕方ない。くれてやろう。
たたかう▶︎どうぐ
さくせん にげる
▶︎腐りかけのきびだんご
ねちょり。
徐に取り出したきびだんごを差し出すと、ぱくぱくと勢いよく食べた。
するとどうでしょう?
「ワンワン!」
忽ち元気になったハイエナはトウシローの周りを駆け回るではありませんか⁉︎
これほど懐かれてしまったなら仕方ない。
きびだんごも全部あげてしまおう。
どうせ腐肉を食らう様なものにしか食べる事は出来ないだろうし。
「よし、お前にも名前をつけてやろう。
そうだな……ハチエナなんてどうだ?」
「ワンワン!」
「そうかそうか、気に入ってくれたか!」
こうしてして新たな仲間を手に入れた。
ーーーーーーーー
しかし何処を切り取っても風情があるな。
この松林から受ける木漏れ日は実に気持ちが良い。
辺りにテクテクと着いてくるのは怒り猿ことイカりん。
そしてハイエナのハチエナ。
「ぐぅ゛〜わんわん!」
そんなハチエナが低くうねる様に喉を鳴らす。
「ん?なんだあれは?」
そして木々を揺らす様な音と共に──
「クェェェェェェ!」
雉の様な生物が現れた。
「綺麗な鳥だな。
しかし残念ながら何か与える様な物はない。
先ほど全て切らしてしまった。
て事でさらば」
「クエ⁉︎」
うーん、しかしどうやったら鬼ヶ島に辿り着けるやら。
これはまだまだ掛かりそうだな。
そうな事を思い、歩を進めていると──
「クェェェエエエエ!」
「イテッ、イテッ、やめろこら!」
荒ぶりながら頭を突きまくってくる。
「クェェェ!クェクェクェクエェェェ!(おーい!物語的に俺も仲間にする流れだろ!)」
「何を言っているか分からないが鬱陶しいな」
「クェクェクェェ!!(きびだんご寄越せこらー!!)」
「やめろ!氷パーーンチ!」
「キョェェェ!」
氷を拳に纏わせて殴ってやった。
原理は分からんがイメージすると簡単に出てくる。
詠唱?なんだそれ。
初期設定なんぞゆるゆるだ。
まぁいい、取り敢えず先を急ごう。
「──ん?」
なんと綺麗な鳥が仲間になりたそうにこちらを見ている。
仲間にしますか?
はい
▶︎いいえ
よしそろそろ本編に行って貰いたいし、この辺で今回の俺の閑話は終わせますか。
こうして一人の少年と二匹の従者──
「クェェエエ!(置いてくなぁぁああ!)」
と一匹のストーカーは鬼ヶ島を目指すのだった。
オコリザル。
ポチエナ。
ケンホロウ。




