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修行



──演習場



ウリュウ、そしてリースの前に佇むのは、四人の男。


先頭に立つのは桃ノ果実(もものかみ)


そして背後には三人の人影。


右から順に猿ノ矢真(さるのやま)犬ノ火粉(いぬのひこ)雉ノ詩舞(きじのしま)


彼らは一派の中でも屈指の実力者の様だ。


流石に全員の稽古をするとなると時間も人員も足りない。


そこで呼ばれたのが彼らと言う訳だ。


「連れて参ったのはこの三名だ。

 猿ノ矢真は多少落ち着きが無い所がネックだが身体能力は抜群に良い。

 特に射的の才能は群を抜いている。

 その身体能力と射的センスで奇想天外に剣技を扱う」


「よろしくっす!」


猿ノ矢真と呼ばれた男は、クリクリとした目の黒髪の短髪。

活気のある少年の様な童顔でその口調からもお調子者だと言う事が伝わる。


「犬ノ火紛は三人のまとめ役みたいな者だ。

 冷静でいて型通りの綺麗な構えをとる」


「宜しく頼む」


犬ノ火紛と呼ばれる男は、キリリとした目つきに肩まで伸びた黒髪を後ろに纏めている。

整った顔からはあまり心情を読み取れない。


「雉ノ詩舞、こいつもこいつで楽観的な所があるが武に関しては才能がある。

 力は弱いが目と耳が非常に良い。

 それに付随して観察能力が高く常に優位に戦う。

 俺からは以上だ」


「よろしくね〜」


一通りの紹介を終えるとリースが口を開いた。


「では皆さんこれから魔素の適正を判断致します……」


そう言うとこの地においての鬼道、即ち魔法の力について語り始める。

そして説明を終えたリースは彼らの適性を測るべく、その方法を試す。


「先の説明の通り、魔法には属性が御座います。

 そして魔法とは想像の具現化。

 ですから自らが一番想像しやすい現象が良いでしょう。

 先ずは私が純粋な魔素を送ります。

 そうしましたら強くイメージして下さい。

 火であれば燃え盛る炎の様に。水であれば溢れ出る泉の様に。

 より鮮明に映像化し、それの呼応する魔素の色が変化したら適性があると言う事です」


「なるほど、詳しい原理は分からんが兎に角想像すれば良いのだな」


「早いとこそう言う事です。では早速始めますね。

 何方からにしましょう?」


「おいらからやって貰うっすね!」


そう言って一歩前に出たのは猿ノ矢真だった。


「畏まりました。では手を出して頂けますか?」


「了解っす!」


猿ノ矢真は掌を上に向けリースの元に差し出した。


そこに純粋な魔素を送る。


視認する事は出来ないが何かしらの流れを感じる。


猿ノ矢真は静かに瞑想すると徐々に魔素が色付き始めた。


その色は緑。


だんだんと強くなる流れはやがて突風の如く周囲に吹き荒れ、リースの髪を大きく靡かれた。


「潜在的に多くの魔素をお持ちです。

 そして適性属性は風の様ですね」


「おぉー!すげぇ!」


猿ノ矢真は自分の掌を不思議そうに見回す。


そして余程嬉しかったのか、少年の様に駆け回った。


「今度は俺が行く」


次に名乗り出たのは犬ノ火粉。


先と同じ様に掌を差し出すと魔素が送られる。


すると今度はキラキラとしら光の粒子が現れる。


そしての粒子はボォと膨張するとメラメラと燃え始めた。


「これが魔法……」


淡く光る炎見つめるとそう呟いた。


「繊細な魔素をお持ちですね。

 適性属性は炎の様です」


「承知した」


「今度は僕の番だね〜」


今度は雉ノ詩舞が歩み寄る。


要領良く掌を向けると瞑想し始めた。


ずんっずんっずんっと鳴り響く重低音。


緑に光る魔素はその音に呼応する様にバウンスする。


「ひゃっはぁああ!」


ぶんぶんとヘッドバンキングをする雉ノ詩舞は奇声をあげた。


「…………うるさい魔素です。

 適性属性は猿ノ矢真さんと系統は違いますが風ですね」


「うむ、では最後は拙者が行こう」


最後に名乗り出たのは桃ノ果実。


その大きく無骨な掌を上に向ける。


深く深く瞑想する。


思い浮かべるのは幾度と振り続けた刀の鍛錬。


何千何万と振り続ける刀身は空気の摩擦と共に赤く染め上がる。


そしてその刀身が淡い光を帯びた時──


腰に差した一振りが桃色の炎を纏った。


「まさか……⁉︎」


驚愕するリース。


それは武装の概念の延長。

己の身体のみならず持った得物などの装備にまで魔素を行き渡らせる高等技術。


彼はそれをやってのけた。


そして適性属性は炎。


彼の炎は刀に纏う鋼の魔素と合わさり、桃色に炎色する。


徐に引き抜いた発炎する刀身は見惚れる程美しかった。


今まで感じていなかった力の流れ。


リースの魔素を介してその力の片鱗に触れた彼らは新たな境地へと足を踏み入れた。


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