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名刀爆誕


明らかな危険信号を聞きつけ、皆が顔を向ける。


映るそこにはゴブリンに酷似した魔物の様な生物。


そして小脇に抱えられた女性は見覚えのある丸々とした人物だった。


「ウリュウさまぁぁあああ!」


彼女の絶叫が聞こえると、桃ノ果実は頸元に添えた短刀を胸にしまい口を開いた。


「ウリュウ殿、ここは一時休戦としよう」


「あぁ」


「皆の者!鬼の妖が出現した!直ちに迎撃せよ!」


桃ノ果実の号令と共に動き出した一派達。


彼らが一歩踏み込んだその時──



パンッ!



乾いた音と共に鬼の顔面が吹き飛んだ。


徐々に魔素と化す魔物と並び立つ男。


「ぺぎゃっ!」


崩れ落ちる魔素と共に落下する女性。


それには一瞥もくれる事もなくウリュウは辺りを見渡した。


そこに映るのは鬼の群生。


いつぞのゴブリンを思い出す。


ゴブリンと酷似した姿形だがこの国、古来の物なのだろうか。

微妙に雰囲気が違う。


兎も角これを掃討する事が先決だ。


「【風の嵐(ウィンドストーム)】」


そう思ったのも束の間。


不可視の暴風が吹き荒れれば瞬く間に魔物を襲った。


大量の鬼を巻き込み切り刻むと、次々と魔素へと還す。


「ここまでとは……」


唖然とする桃ノ果実一派。


魔素の力を介せず己の鍛錬のみで鍛えたれた彼らでは、到底届かぬ領域。


それは極限まで鍛えられた桃ノ果実当人においても揺るぎない。


早々にケリをつけた彼らは桃ノ果実の前へと降り立つ。


「悪かったな。返す」


バツの悪い顔で渡されたのは歪に直された刀。


「いやそれではもう納まりが悪い。

 貴殿に差し上げよう」


「そうか」


そういうと徐に掌に置くと武装を解放し、有ろう事か刀を叩き出した。


「なっ⁉︎」


「せいやー!それ!もういっちょ!」


素手で叩きつけられた刀身は眩い魔素が迸ると徐々に形を戻す。


「これでいいか?」


みれば当初と変わらぬ輝きを放ち、その美しい曲線は見事に再現されていた。


「あ、あぁ……(かたじけな)い」


貰い受けた刀はすんなり鞘に納めるとずっしりと重量を感じた。


「あ、言い忘れたけどその刀柔らかいからもっと硬くしといたぞ。

 試しに振ってみてくれ」


「分かった」


桃ノ果実は腰に挿したそれを再び引き抜くと垂直に振るった。



──ザバァァァァン!!



正面の草叢は一斉に薙ぎ倒されその剣圧の凄まじさを物語った。


「な、硬くなってるだろ?」


何ももって硬くなってると言っているのかは分からないが、とんでもない代物を貰い受けてしまった事だけは重々に理解出来た。


桃ノ果実は漠然とした意識の中、そっと鞘を納めた。


こうして彼らの決闘は幕を閉じる。


そして名も無き名刀は草を薙ぎ払う剣、即ち【草薙の剣】と。

将又、【雨竜】と名乗る英雄の力を受け天をも裂き雲を分けるという逸話から【雨叢(あまのむら)雲剣(くものつるぎ)】と言われたとか言われなかったとか。


隠して満月より早く襲った妖と以前の記憶とリンクする鬼の群れ。

そのいくつかの謎と──


「あのぉ〜、私を起こしてくださる殿方はおられないのですかぁ?」


ブスを残して一幕を終えた。


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