桃ノ果実
櫛名田が失神してからかくかくしかじか。
ウリュウ達は城内へ案内された。
それはこの地を護衛する──桃ノ果実。
その一派に顔を合わせる為だ。
通された大広間の両脇にはずらりと立ち並ぶ屈強な男。
どこか疲弊の色を隠せない者も数名見受けられた。
かれらは青を基調とした袴を揃って身につけ、その重々しい空気は現場の緊張感を演出する。
一段超えた奥には足組みの姿勢で鎮座する桃ノ果実の姿があった。
「貴女か、鬼道を扱かう者とは?」
威風堂々と構える彼の姿は異質な魅力があり、人の上に立つべくして生まれた選ばれし素質の持ち主だと言う事はすぐに理解できた。
そして問われたのはリース。
威圧とも取れる状況に、彼女もまた類まれなる才能の持ち主にしてこの場に萎縮せず言葉を発する事が出来る程の者。
「はい、この国では鬼道と言われる力。それは私の母国では魔法と呼びます」
そう言うとデモンストレーションとばかりに水と炎を創り出した。
「これは素晴らしい!」
騒めいた一同は創り出した魔法に見る目は一転した。
徐に腰を上げた桃ノ果実はリースの歩み寄ると手を握ると真摯に口を開く。
「どうかこの地に残り、巫女として……いや私の伴侶として暮らして頂けないか⁉︎」
「──えっ⁉︎」
プロポーズとも取れるその言葉に困惑するリースであったが、純粋な好意は嫌な気もしなくもない。
ちょっぴり頬を紅葉させるとふいに男の声響く。
「待て」
その言葉に少しばかり瞳を輝かせるリース。
リースの答えを聞く前に遮れらた桃ノ果実は男へ目線を落とす。
「む、これは失礼、貴殿は貴女の主人であったか?」
「いや違う」
「ならば話は早い貴女は拙者が貰いうけよう」
「勝手に決めるな」
「主人でもない貴殿が何を申す。もしや貴殿も鬼道を使いこなすと言うのか?」
その煽りとも取れる文句に堪らずウリュウも言い返す。
「当たり前だ」
「ほお?ではどういった事が出来る?炎か?水か?将又突風でも起こすか?」
一拍。
ウリュウは真剣な眼差しで彼を見つめた。
そして──
「硬くなる」
そう言った。
「「「ぎゃはははははは」」」
一様に笑い転げる周囲に桃ノ果実も同じくして腹を抱えた。
「はっはっは!そうかそうか硬くなると申すか。それは大層な鬼道だ」
そして大笑いをした後にこう続ける。
「ではお主の鬼道と拙者の武道、何方が優秀か勝負しようではないか!
そして勝者となった方が貴女を貰い受ける。
男と男の勝負だ。当然逃げたりはしないであろう?」
ウリュウはリースに視線を合わせるが『どうぞ勝手にして下さい』と言わんばかりにプイッと外方を向いてしまった。
正面を向きなおしたウリュウは「当たり前だ」と即答する。
「ついてこい」
「あぁ」
そう言うと桃ノ果実の後を追うのであった。
ーーーーーーーーーーーー
──リース。
見知らぬ男性から突然プロポーズ紛いな告白を受け、言葉に詰まっていると、私の心情を察したのか彼が口を開いてくれた。
しかし彼が放つ言葉は私が思い描くものとは程遠いものだった。
はぁ……。なんかもっと「俺の女に手を出すな!」的な事言ってくれないかね……。
しかも挙句また決闘だとか言い出す始末。
ほんとどっかのデュエリストか!って感じ……。
──はっ⁉︎私今意味分からない事言ってた⁉︎
最近何かに取り憑かれたかの様に変な事を口走ってしまう。
まぁいいわ。
兎に角、男ってのはつくづく女心って言うのを分かってない生き物ですね。
「リース、何をへそ曲げてんだ?」
「なんでも御座いません」
「そうか」
『そうか…』じゃなぁぁあああい!!
そこはもっと構ってって言う合図なのよ!
もう!知らない!
あんたなんか桃ノ果実さんにやられちゃいなさい!
次回
【桃ノ果実散る。無敵の鉄壁モンスター。】
デュエルスタンバイ!




