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戦いの匂い



──金閣城 一室



目を開くとまだ見慣れない天井が目に入る。


どうやら私は気絶してしまった様です。


ふと胸に手を当て、落ち着いた鼓動を確かめる。

そしてあの御方も事が頭を過ぎると再びその鼓動は高まり、気持ちを高揚させた。


「あぁこれが恋なのですね……」


今すぐお顔を拝見したい。


その思いのまま寝床を飛び起きると彼を探す事に致します。


「待っていて下さい!今向かいますからねぇ!!」


誰に向けてかその意気込みは独り木霊した。


ーーーーーーー



「クンクンクン、クンクンクン……

 匂う、匂ますわぁ!!」


鼻先を子豚の様に動かして頻りに辺りの匂いを嗅ぎつける女性。


彼女はこの村で唯一の女子となり、この城に匿われる事となった者。


「こっちですね⁉︎」


一頻り嗅ぎ終えるふと一点を見つめた。

どうやら進路が決まった様です。


「よしっ」


そう言うと徐に両手を付き片膝の状態で腰を上げる態勢をとった。


「たぁぁあああ!!」


その掛け声と共にクラウチングスタートの様な姿勢から全力で走り出した。


「うおぉぉぉぉおおおおお!!」


顔面を左右に振り腕は垂直に振りながら爆速する。


乙女とは正反対の走行をする彼女は金閣城を出るととある広場に行き着いた。


「ここって……」


近くの木陰に身を潜め辺りを見渡す。


「はぁぁぁ!!」


そこに居られたのは想い人。


しかしその対面には髪を後ろに束ね、腰に差した一振りが際立つ精悍な壮年の男。


「ウリュウ殿、準備は宜しいか?」


「あぁ」


「ではいざ尋常に……」


その男は模擬刀の様な物を構えるとずっしりと腰を下ろした。


戦闘の気配。


「ウリュウと言うのですね……!」


しかしながら彼女の瞳には想い人しか映っておらず、そんな状況は大して興味がない。

あるのは彼の名を知る事が出来た喜び。


そんな最中。


「参る」


戦いが始まった。


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