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極東



スラヴ国 王の一室。



四肢に包帯を巻き王座に鎮座するペルーン王の前には一組の男女。


「礼は言わんぞ」


放つ言葉は無愛想極まりない。


しかし、貸しを作った事には変わりない。


それは死の影の討伐に際し、多くの同胞が救われた事。


更には己の両腕を這う不気味な魔素は、リースの治癒魔法で回復した。


それはバーバヤガーの呪いすらも打ち消し僅かな痣を残すのみとなった。


短時間で全て消し去るのは困難だが、時が経てば消えるであろう。


「あぁ、俺達も時期に出る。

 勝手な真似して悪かったな」


早々に会話を切り上げて場を出ようとするウリュウ。


「待て」


唐突に制止をしたのは意外にもペルーン王だった。


「次に行く当てはあるのか?」


「ない」


「ふん、だろうと思っとった」


「なんだ冷やかしか、じゃな」


思った返答を得れずそそくさと踵を返す。


「いや、待てと言っておろう」


「なんだ」


「此処より極東に小さな島国がある」


そう言うとペルーン王は徐に語り出した。



ーーーーーーー


若かりしペルーンは何処ぞの誰かと同じく国を出た。


その道中、ここより極東に値する場所に小さな島国を見つけた。


そこは豊富な金を生み豪勢に構えた宮殿は何処となく奥ゆかしい魅力があった。


人々は礼儀正しく穏やか。


それに加えて優れた剣術を扱う者が居ると言う。


彼らは水の神を崇め、一面海に囲われたその土地では、漁や水災の際にはその豊作また災厄を払う為祈願すると言う。


その地に漂流したペルーンは偶然通りかかった女性に助けられた。


その女性はのちに妻として嫁ぐ事になるのはまた別の話。


画して招かれたペルーンは宮殿へ足を運ぶ。


そこで聞かされた話しを今でも鮮明に覚えている。


それは勇者にまつわる一つの伝承。


その巫女曰く。


ジパングの海域が荒れた時、再び勇者は現れる。


人々を呑み込む災厄はいずれ人々を癒すであろう。と


そしてその勇者をこの地に招く為、ペルーンが架け橋となって欲しいとの事だった。



ーーーーーーー



「貴様、勇者なのであろう」


「そう呼ばれた時もあったな」


「ならば話は早い。極東に向かへ。

 貴様の力を必要としている者がいる筈だ」


「断る」


「勿論タダとは言わん。

 このマッスルパウダー10キロ分で……」


「うむ、引き受けよう」


半ば食い気味で言い放つ彼はその条件を呑むとマッスルパウダーを受け取った。


「辺りは海域に囲まれ殆どの外交を遮断している国だ。

 不憫な事も多かろうが宜しく頼む」


「あぁ」


短く返事を返す男は最後に一つ付け加えた。


「最後に一つだけ頼みがある」


マッスルパウダーを入った袋を背に男が言う。


「なんだ?」


「俺達は一応追われている身だ。

 此処に居た事は内密にして欲しい」


「そんな事か、容易い」


「世話になった」そう呟くと彼らは部屋を跡にする。


圧倒的な力を見せつけた男を目の当たりにした数少ない英雄達は、静かにその後ろ姿を見送った。


後の語り継がれる話には彼らの姿はない。


しかし、スラヴの武人達が戦火でみた光景は、強烈にその脳裏に刻み込んだ。


そして傷いた彼らの元に舞い降りた天使は『白き神』と言われたとか言われなかったとか…。


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