表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/220

乱取り



──ヴォーロス。



意識が覚醒して行くと重い身体を起こす。


先ずその目に映るのは巨大な黒い球体。


それは見れば背筋を這う様な悪寒を感じ、犇く人面で象ったそれは本能的な嫌悪を引き起こす。


「なんだこれ……」


「起きましたか。これは死の影の負のエネルギー。

 常人が立ち入れば忽ちその魂が壊れるでしょう」


横に立つ女性は凛とした翡翠の髪が靡く。


「今のあなたには到底入る事は出来ません。

 もう暫くお待ち下さい」


そう言い放つと前に立つ二人の武神を見据えた。


背後には気配を感じて見れば怪我を負った多くの武人。


その側にはヒョードルや金髪の少女も見受けられる。


彼らも自らの実力として最善の行動をしたのだろう。


思考を整理すると視線を正面に向ける。


目に映るのは今将にその黒の脅威に足を踏み入れる二人の武神の姿だった。


そして我らがやれる事はただ一つ。


それは背後で待つ者達と共に勝利を祈る事のみだった。


ーーーーーーーー



「なぁ、じいさん」


「なんだ小童」


「どっちやる?」


「儂は未熟は阿呆共を躾ける」


「いいのか?」


「良い」


「一分くれ、その間絶対その武装解かないでくれ」


「戯け、誰に物言っとる」


「あぁ、それはすまなかった」


それを境に終えた会話を後に二手に別れる両者。


そこは怨念が渦巻く不気味な空間。


一方は虚ろに佇む三つの人影。


また一方では真っ黒な異形が待ち受ける。


互いに標的を見据えたその時──


全者全様に動きを見せた。


ーーーーーーー



──ペルーン王。



纏わり付くエネルギーは這い寄る怨念の幻影を作り出し、気を抜けば呑み込まれてしまいそうになる。


そんな異質を極めた空間。


見知った顔の三者を見据えた。

その相貌は明らかに普通ではない。


「ふぅ」


短く呼吸を整える。


「来い」


その言葉を皮切りに雷を纏う二人の武人が肉薄した。


シンクロした二人がその腕を振り被る。


──瞬間。


突如その眼前を武骨な掌が覆えば地面に叩きつける。


「カハッ!」


込み上げる血反吐を機械的に吐き出す。


だが追撃は出来ない。


それはもうすでに眼前にまで後続による猛攻が迫っていたからである。


視線を上げたそこには豪炎を纏う拳を振り被る男。


体勢を退けるべく叩きつけた腕を引く。


しかし絡み付く腕がそれを許さない。


「小賢しい」


ぽつりと呟くペルーンの顔面を豪炎の拳が襲う。


しかしその勢いは彼の鼻先でピタリと止まった。


それは磁界に支配された空間故。


画してその総身はふわりと浮かべば一転して地面に叩きつけられる。


その重圧は凄まじい。


身体を起こす事すら儘ならない状態で地に伏せた一人が魔法放つ。


「【武装 帯雷】」


引き起こす放電の衝撃はペルーンの総身を数メートル吹き飛ばすに至る。


その間に起き上がったダージュとアランの顔面には僅かに残る掌型の火傷があった。

しかしその相貌には微塵の焦燥も見られない。


その虚ろな瞳がペルーンを見据えれば、三位一体の攻防始まる。


代わる代わるに放たれる打撃の応戦。


その拳が交わればバジンバジンと眩い閃光が瞬いていく。


それは武を極めた彼らの洗練された動きと相まって、夜空に咲く花火の如く芸術的に見えた。


そしてペルーンが放つ打撃が彼らを打てば、徐々に焦げた肌が目立ち始める。


「小僧、はようせぇ。此奴らが逝く前に……」


その呟きは鳴り響く雷鳴に溶けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ