兄弟
──ダージュ。
突如現れた男。
それは幼き時より共に育った肉親。
「アラン……何故お前が此処に……」
「詳しい話は後だ。取り敢えずこれを飲め」
渡されたのは小瓶。
「【魔素の雫】だ。早くしろ」
──魔素の雫。
それは凝縮された魔素を清らか水に溶かした液体。
一瓶飲めば全快とは言えないが、十分な魔素を得る事が出来る。
すぐ様飲み干したダージュはアランの隣に並び立つ。
眼前には不気味に隆起し、再生を繰り返す化け物。
「吸血鬼か?」
「あぁ、見ての通り驚異の再生能力を持っている。
弱点は恐らく心臓にある核。
それを壊さなければ再生を繰り返す」
「なるほどな……」
そう言うと徐に構えをとった。
ダージュを背に置くとポツリと呟く。
「やるか?」
もはや言葉を交わさずとも察しがついた。
続いてダージュも対に構えると魔言を紡ぐ。
「【二重連唱・雷吽】」
同調する二人の魔素が膨れ上がると巨大なライオンを象った。
──寸毫。
一切の狂いもなく洗練された二人の動きは綺麗にシンクロし吸血鬼に迫る。
その脅威を理解した吸血鬼はその総身を無数の蝙蝠に化けた。
しかし雷吽の効果範囲は絶大。
その顎が開けば大量の蝙蝠を呑み込み噛み砕いた。
残るは数匹の蝙蝠。
「何処かに核を残す個体が居る筈だ」
「洒落臭い。全部叩く」
「だな」
気の合った二人が共に駆けた時──。
──バガァァァァン。
爆音と共に天が裂けた。




