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じいちゃんと気

ーーーーーーーー


あれはまだ俺が幼稚園の頃だった。


「じぃじ、大車輪のやり方教えてくれ」


「なんじゃクソガキ。そんなもんも出来んのか」


この矢鱈なガタイと般若の面の様な相貌で俺をクソガキと呼称するのがじいちゃんだ。


そしてハゲている。


「お前はな、身体の使い方がなっとらん」


「そんな事ないぜ。

 だっておれ、毎日室伏のトレーニング真似てハンマー投げしてるぞ」


「うむ、良い心掛けじゃ。

 だがな、それだけでは駄目なのだ」


「じゃあどうしろってんだ」


「気を感じろ」


「気?」


「そうじゃ、気と言うのは心の臓を中心に己の内側から出るエネルギーの様なものだ」


「遂に脳味噌までハゲちまったか……」


──ゴンッ!!


図太い右腕が振り下ろされると、鈍器で殴られた様な衝撃が頭上に走る。


「いってぇー!!」


半べそをかきながら、頭に出来た大きなたんこぶを抑えた。


「黙って聞いとれ」


そう言うと話を続けた。


「最初から気を感じるのは難儀なものだ。

 まずは座禅を組み集中しろ」


「気の流れを掴んだらそれを己の内に留める様に練っていく。

 気とは練れば練るほど練度が増していくのだ」


「そして気の流れをコントロール出来たらそれを身体全体に纏う様にイメージするのだ。

 さすれば大車輪如き、楽が勝つわ」


ーーーーーーーー


そうだ、気だ。


あの時は何言ってるか理解出来ず、気がどうこう言ってるら辺でへそのゴマいじってたけど、今なら分かる。


集中しろ。気を感じるんだ。


俺は地を蹴りコラッタに向け肉薄した。


コラッタも此方に気付き、尻尾を細かく振動させ、大きな前歯を突き出し威嚇する。


構わず大きく前に出した左脚を軸に、振り被った右脚を全力で蹴り抜いた。


「うらぁぁあああ!!」


腹部辺りに蹴りが炸裂すると魔物は彼方へ消えてった。


「武井壮の動物の倒し方の本読んでて助かったー」


母国の百獣の王が出した本で小動物の倒し方のレクチャーをしていたので参考にさせて貰った。


気……?なにそれ美味しいの……?


まぁ兎も角、一先ず肩を撫で下ろす。


「やりましたね、上出来です。

 この調子で進んで行きましょう。

 魔物は自然魔素の濃度に比例して凶暴性が増し危険度が高まりますが、深部まで行かなければ問題ないでしょう」


それから俺達は少しづつ魔物を倒しながら進んでいった。


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