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号令


突如として現れたそれはワニガメの様な外形をとり、ゴツゴツとした凹凸のある甲羅を背負い、口元は鉤状に尖った鋭い形状をしていた。


更に尻尾から頭部に掛けて露わになる皮膚の上には棘状の大鱗が所狭しと覆う。


そして唯一決定的な違いを上げるとすればそのサイズ。


言わずもがなその極大な体躯はスラヴの武人の多くを絶望に導いた。


「勝てるのか……

 いやそもそもどうやって戦うんだ……?」


そしてそれは三柱の一人でさえも同じだった。


「おいスヴァログ、何弱気になっている」


「そうじゃない!こんなにデカくちゃ戦いようがないだろ⁉︎」


受け入れ難い現状を必死に否定するスヴァログ。


「ふん、そんな事だとまたあの男に笑われるぞ」


ヴォーロスの言葉にあの時の屈辱が蘇る。


そうだ。


あの時に思ったんだ。

二度と絶望に負けないと。


大事なものを守る抜くと。


スヴァログの胸に火が灯るとそれに比例して炎を纏う。


そして一人の男が号令を掛けた。



「皆の者!よく聞け!

 

 我らには守るべき誇りがある!

 

 守るべき里がある!


 そして何より守るべき家族がある!!


 今一度胸に問え!


 ここで尻尾を巻いて逃げ出しひそひそと独り虚しく生きるか、英雄と称えられ誇りを持ち生きるかだ。


 お前達なら分かる筈だ!


 悔いのない選択しろ!


 以上だ」



ダージュの言葉に一気に士気が上がる。


「そうだ、ペルーン様も付いて居られるんだ!」


「何を弱気になっていたんだ……」


小さな希望に縋る様に、徐々に取り戻しつつある誇りを手繰り寄せていたその時──



奴が動いた。



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