星の肺
──スラヴ国周辺。
「ウリュウ!何してるんですか⁉︎
彼らはもう何処かへ飛び立ってしまいましたよ!」
「あぁそうだな」
「そうだな……じゃないですよ!
急がないと手遅れになっちゃいますよ!」
「いやまだ日課の筋トレが終わってない。
今回の相手は相当手強いらしいからな、ゴリゴリにパンプアップさせて行きたい。
いつもより念入りにやる」
「はぁ…やれやれ、こうなったら梃子でも動かないんですよねぇ……」
リースは深くため息を吐くと、諦めた様に外方を向いた。
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──アルタイ山脈 ベルーハ山麓
山岳の麓には湖が広がり、その水晶の様に透明に出来た水は、見て居るだけで心が浄化されていく様だ。
あちこちに点々とする森林は澄んだ空気を生み、一度それで肺を満たせば身体の隅々まで洗われていく錯覚すら覚える。
まさに『星の肺』とは良く言ったものだ。
だがその反面。
大量の自然魔素が充満するこの地では、凶暴な魔物も多数生息する。
それ故未開の地が多いのもまた事実。
「おい、あれマンモスの群れじゃないか……!?」
「おいおい勘弁してくれよ、こんな斜面が多い所にマンモスが居る訳ないだろ〜。
大体マンモスは群れをなさない。
居ても番いとその子位だ。
それが群れをなすぅ?そんな訳あらへんやろ〜?」
モブBは指を指した方へ首を向けた。
「ほんまや!!」
在り来たりなやり取りをしたモブ達の視界には百を超えるマンモスの群れが映った。
「嘘だろ……。数が多すぎる」
腰が引けたモブは後ずさる。
「戯けが」
ポツリと呟かれた言葉を皮切りに、辺り一帯がバチリと電気を帯びた。
──次の瞬間。
百を超えたマンモスの総身がふわりと持ち上げると一点に向け吸い寄せられた。
「【雷神】」
マンモスの積み木が作られると、バチバチと輝く仁王の像が現れる。
「【雷槌】」
仁王の像から打ち下ろされた拳はバリバリと轟音を奏で、やがて茶色い大魂に打つかると眩い光を放った。
徐々に鮮明になって行く視界。
次に視認出来たものは灰と化した肉魂だった。
「腰抜けは退け」
するとモブ達二人はふわりと浮かぶと
「「あーれーー」」
彼方に消えた。




