トキワ大森林
王都から数十分程歩いた所で、密集した木々が見えてきた。
「ここがトキワ大森林か」
鬱蒼とした草木。一つ一つが規格外の大きさだ。
「あれはなんだ」
大木の枝先に鳩の様な生物が止まって居た。
「コッコという小鳥型の魔物です。
自分より大きな生物は襲いません。
人間にとっては殆ど無害です」
まるでどこぞの小鳥ポケモンの様だな。
「じゃあこれは」
「鼠型の魔物で、コラッタと言います」
「いや、もろやん、もろパクってますやん!」
「言ってる意味が分かりかねますが、初めての戦闘であれば最適でしょう」
「お、おぉ……」
小型犬程の体格に紫色の毛並み、体格に見合わぬ大きな前歯が特徴だ。
漫画化されたらモザイクでも掛けておこう。
「ではこうすけ、倒してください」
「あぁ任せろ」
一歩前に出ると両腕を前に構えた。
「……………………ん?
よく考えたら俺武器なくね」
おいおいおいどうやって倒せってんだ。
国王さんよう、剣の一つ位くれてもいいんじゃないの〜?
腕を構え固まっていた俺を見かね、リースが口を開いた。
「古い伝承だと勇者様は武器を持たないとされています。
その身ひとつでどんな困難も乗り超えた。
いわく、その豪腕から放たれる一撃は仇なす全てを穿つと」
いやいやいや、まじかよ。
俺に出来る事と言えば昔じいちゃんが教えてくれた体術位だ。
この得体の知れない生物に通じるとは限らない。
こう言う時こそ冷静になるんだ。
思い出せ、昔じいちゃんから教わった事を──