白い粉(合法)
──スラヴ国周辺 森林地区。
「なぁ兄貴。本当に良かったのか?」
「あぁ」
「ヒョードル。ペルーン王は私達の力は借りないと仰ったまでです」
「その通りだ。
俺達は俺達で勝手にやる」
「なるほどなぁ……
でも、外で寝る事は無いだろ!
父ちゃんに言えば宿舎位どうにでもなるぜ?」
「幸い野宿には慣れている。
その気持ちだけで十分だ」
「そっか。兄貴がそう言うならまぁいっか。
それよりさ、俺の組手に付き合ってくれよ!」
そう言うと戦闘の構えをとった。
ヒョードルのそれはダージュと酷似してだらーんと下げた腕が印象的だ。
やる気を全開にするヒョードルに対しウリュウはと言うと……。
「やだ」
明る様に嫌そうな顔を見せた。
「なんでだよ!
俺ってそんなに才能が無いのか?」
「そんな事は無い。
寧ろ武の才能に関しては言う事がない」
「じゃあなんで?」
当然の様に出来た疑問を投げ掛けた。
「面倒臭い」
「えぇ……」
呆気にとられたヒョードルはポカーンと口を開けた。
「それに俺に何のメリットも無いしな」
「まぁまぁそんなに邪険にしないで、組手位良いんじゃないですか?」
優しく諭すリースだがウリュウの表情は崩れる事は無かった。
「んだよー。
兄貴と特訓した後にマッスルパウダーで作ったマッスルジュース飲むの楽しみにしてたのに〜」
「む……何だそれは?」
一つ興味を示したウリュウにヒョードルの広角はニコっと上がった。
「これだよこれ!」
そう言うとヒョードルの懐から瓶に入った白濁した液体を取り出した。
「それは……⁉︎」
「これは羊の乳から摘出したタンパク質の粉を水や牛乳などで戻した飲み物だぞ!」
「プロテイン…だと……⁉︎」
この世界に存在するとは考えもしなかった代物にウリュウは驚きを隠せない。
「よし、良い子だ。流石は俺の弟だ。
分かったらそれを寄越すんだ」
「あぁいいぞ!でも組手の訓練をした後な!」
ヒョードルはニコッと微笑むと無言の圧力を掛けた。
「うむ仕方ない。だが約束は忘れるなよ」
「勿論だぜ!」
ウリュウが渋々承諾すると、ヒョードルは歓喜した。
こうして二人の特訓が始まった。




