談判
──スラヴ国 王の一室。
他とは一線を画す程絢爛に造られたドーム状の建造物を入って行くと、三人の壮年の男達が目に留まる。
何処か疲労が鑑みれる男達の奥には、大きな玉座と共に毅然とした老人が鎮座する。
「待っておったぞ小僧。
貴様の戦闘は実に見事だった」
一際蓄えた顎髭を摩り、髄に響く様な低い声が木霊する。
「ならば話が早い。
俺達はジェノサイドタートル…ここで『死の影』と言ったか……それの討伐に少しばかり助力したい」
ウリュウは先の戦闘によりある程度の実力を証明出来ただろう。
良い返答を期待する彼らに反して、ペルーン王の答えは難儀なものだった。
「ならぬ」
一言。
だがその髄に響く声色は無意識の内に萎縮させる。
「あぁ?何故だ?」
只一人、飄々とした顔で返す男が居た。
「正気か、世界を滅ぼしかねない魔物だぞ?」
「笑止。貴様如きの力など借りぬと言っておるのだ」
やはり毅然とした発言をする王は、更に無言の圧力を加えた。
一拍。
「そうか、分かった」
深く双眸を見つめた彼はそう言うと踵を返す。
「ウリュウ!良いのですか……?」
慌ててリースが制しする。
「あぁ、あの爺さんは只者じゃない。
それに──
借りないと言っただけだ……」
彼はそれ以上語る事はなく、只歩を進めた。
そしてそれに続く様にリースとヒョードルが後を追う。
「本当に宜しかったのですか、父上?
あの者の計り知れぬ実力……
ご覧になられたのでしょう?」
「小童は黙っとれ」
叱責をくれた老輩は久しく口角を上げた。




