現実
「どうだ凄いだろ、兄貴!
本気を出してないってのは、嘘じゃ無かったんだぜ!」
得意気な顔で胸を張る。
「凄い…凄いぞヒョードル」
「へへ〜ん。で、兄貴。改善出来る所があれば何処か教えてくれ」
自慢気に鼻を擦ると、先程お願いした指導を煽った。
だが──
「ない」
「えぇぇ……?」
「そんな事よりそのバチバチどうやるか教えてくれ!」
ウリュウは指導するのは愚か、ヒョードルの纏う電気に感激し、逆に教えを乞いていた。
「お、教えるも何もただの【武装】だぞ。
雷属性を加えればこうなる……」
「そうか!ありがとうヒョードル!
流石は俺の弟だ!!」
「うぉおお!兄貴に認められたぁ!!」
ウリュウはヒョードルを義弟と認め、ヒョードルは弟と呼ばれた事に感激し、彼らの瞳は少年の様に澄んでいた。
「なあリース、俺にもあれ、出来るのか?」
「雷属性の魔力を込めるだけなので可能かもしれません」
「本当か……!よしっ!
これで俺もスーパーサイヤ人に成れる…。
しかもいきなり2だ。
そしてこれを鍛えればやがて3となり……
膨大な毛髪も夢じゃ無い!!」
なにやらにやにやと独り語り出すと、希望に満ちた表情で叫び出した。
そして早速雷のイメージを強く持つと武装の魔法を試し始める。
リースにコツを教わりながら何度か試行して行く。
だが、ウリュウの思惑は呆気なく散った。
結果としては、出来なかった。
いや、正確にはまつ毛がくるんとする程度の僅かな変化しか得る事が出来なかった。
要するにウリュウは絶望的に雷属性の才能がないと言う事だ。
「まじかよ……」
「兄貴、残念でしたね……」
「は?誰お前、俺一人っ子なんですけど?こっわ。」
「うそ…だろ……」
ヒョードルは膝から崩れ落ちると、四つん這いになり嘆いた。
ウリュウはそれに一瞥もくれずに振り向くと、本土に向け歩を進めた。
「待ってくれよ兄貴ぃ。
てか、俺居ないと道分かんないでしょう⁉︎」
ヒョードルは急いで起き上がると、ウリュウの後を追った。
「やれやれ……」
大きなため息を吐くと、リースが続く。
こうしてウリュウ一行は本土を目指したのだった。




