災厄
ウリュウ達は北東方面へ進んでいた。
「リース、次に向かう大陸はどう言うとこなんだ?」
疑問を投げ掛けると、リースは丁寧に説明してくれた。
向かう国の名は『スラヴ』。
ペルーン王を頂点に三柱と呼ばれる武人を中心とし、洗練された武術からなる武力より統治された国家である。
それは広大な国土を誇るスラヴ国にとって安易且つ最も合理的な手法であった。
スラヴ国周辺は森林地帯に覆われ、農耕を生活の基盤に置いている遊牧民だ。
故に決まった居城を持たない。
更にその気候は厳寒な冬の時期が長く、降り積もった積雪は天然の要塞となる。
辺境の地で鍛え抜かれた武人と気候による天然の要塞。
この二つの双璧によって他国の侵略を阻んできた。
「そんな強い奴らが居てもその亀は倒せないのか?」
「確かでは有りませんが、伝承に寄れば、その装甲は恐ろしく硬く生半可な攻撃は通さないと言われています。
スラヴの武人の一撃とて効くとは限りません」
「そうか」
強大な力を持ったスラヴの武人さえ及ぶか知れない魔物。
それだけ大厄四獣であるジェノサイドタートルは危険視されていると言う事だ。
「最近ジェノサイドタートルが動きを見せたという目撃情報がいくつか入ってます。
真偽は不明ですが、街を襲ってからでは遅いですし、良い機会ですね」
「そうだな」
スラヴ国の情報を整理し、数日間掛けて目的地を目指した。
鬱蒼とした木々が段々と背丈を縮め、積もる雪が目立ち、少しずつ青さが薄くなって来た頃──
眼前に広がる光景に戦慄を覚えた。




