ヤンキーとヤクザ
部屋を出た俺はトイレを探していた。
矢鱈と広い城内のうえに土地勘もあまりない。
これでは用を足すのにも一苦労だ。
「どこだぁ……?」
トイレを探し回っていると正面から肩で風を切りながら、意気揚々と近づいてくる少女が居た。
「おめぇかー!
鬼の皇に一発ぶっかましたってやつは!」
大声を張り上げて近付く少女は黄金色の髪を後ろに束ね、癖のある毛先は花びらの様に広がっている。
胸元には晒を巻き、その上から長ランの様な物を羽織っていた。
まんまヤンキーの様な出で立ちだが、実際はヤンキーでしかなかった。
俺の正面まで来ると、突然「勇者様がなんぼのもんじゃいと!」と叫び、横腹を小突いて来た。
ふざけんなと思っていたのもつかの間、「なんだ、こんなもんか」とほざいて颯爽と行ってしまう。
小突かれた衝撃で溢れ出る尿意を強靭な膀胱筋で耐えると、絞り出す様に声を発した。
「ちょ、ちょっと待て……トイレ…どこ?」
女ヤンキーは振り返り面倒臭そうに頭を掻くと、以外と丁寧に教えてくれた。
「あぁん、トイレは正面の階段で一回まで降りて、突き当たりを右に行った通路にあるよ」
「助かる」
要件を伝えると何処かへ消えていった。
律儀に教えてくれた事には感謝するが、好んで絡みたくはないという印象だった。
全く、どう言う教育をしたらあんなガキになるのやら。
親の顔が見てみたい。
物思いに更けていると、階段を降りる手前で声を掛けられた。
なんだか今日は良く話し掛けられるな。
「君、うちの娘を見なかったか?」
階段から上がった来た屈強な男は、黄金色の髪をサイドで刈り上げ、ヤクザの様な相貌をしていた。
さらに目を引くの所と言えば──
床を引き摺るほど長い長ランをを羽織っていた。




