八話 遭遇1
申し訳ありません。なかなか話が思い付かず、結局こんなに遅くなってしまいました。
とりあえず、上層を目指すよりもこのまま下層に行き通用しなさそうなら戻ってくることにした。
その方がレベル上がりそうだしね。
そのために階段を探しているとどこからともなく炎の槍が飛んできた。
「うお!?」
慌てて回避し飛んできた方に目を凝らすと、そこから3つ首の巨大な犬がのっそりと出てきた。
「ケ、ケルベロス!?」
そう、その犬は地球では冥府の入り口を守護しているとも言われるケルベロスだった。
(どう考えても勝てないよな、アレは。)
よし、逃げよう。そう決めた後は早かった。日蝕に魔力を流して炎をまとわせ、地面に突き刺して爆発させた。これは日蝕に火属性の魔力を流し、一気に解放すると起こせる。能力では無いが、魔力伝導率が高いためこんなことが出来る。
(あんな化け物がいるような階層なら絶対通用しない。てかなんで初心者用のはずのこのダンジョンにあんなのがいるんだよ。まあとりあえず上に上がれる階段を探そう)
その後、とりあえずそこらにある通路は片っ端からさがしたが、今目の前にある重厚な扉以外何も見つからなかった。いや、正確に言えばまだ探していない通路はある。例のケルベロスがいたあの通路である。しかし、どうしてもあそこに行く気にはなれなかった。なので、他に探す場所が無い以上消去法でこの扉にたどり着いたのである。
(でも絶対この先なんかあるよなぁ…)
とはいえあのケルベロスにもう一度会いたいかと言われればそれは否なので覚悟を決め、扉を開いた。
ギィィィ、バタン!
扉の中に入った途端扉は勝手に閉まった。しかもその扉は内開きで取っ手も無かったので開けられない為、ひどく焦った。なにせただの様子見のはずが閉じ込められてしまったのだから。そして仕方なく部屋の中へ目を向けると
ボボボボボウ!
急に部屋の壁にあった大量のロウソクに火が着いた。そして明るくなった部屋の真ん中には、骸骨がいた。しかもただの骸骨ではない。ボロボロのローブを纏い、杖を持ち、胸の本来であれば核である魔石があるはずの場所には真っ赤な球体があった。
「んな!?リッチ!?」
そこにいたのは城の書庫で読んだ魔物図鑑に乗っていたリッチであった。リッチは高位の魔法使いがアンデット化したモンスターで、生前使えた魔法を魔物化した影響で獲得した膨大なMPに物を言わせてひたすら撃ちまくることが可能な厄介な魔物だ。しかも個体によっては生前の自我が残っている場合もある。
(ひとまず相手の手の内をできるだけ暴くか…)
俺は慧魔眼の能力の一つ、看破眼を発動した。これは鑑定の上位互換のようなスキルで、たとえ相手が隠蔽や偽装していたとしても看破して真のステータスを見れるうえ、レベルが上がれば朧気ながら相手の悪意などの感情も読み取れるというぶっ壊れスキルである。
名前
種族 リッチ
レベル 100/100
職業
体力 100000/100000
魔力 50000/50000
攻撃 6000
防御 7000
魔攻 10000
魔防 10000
俊敏 7 000
知力 10000
運 1000
通常スキル
杖術レベル2
水魔法レベル4
地魔法レベル4
希少スキル
炎魔法レベル2
暗黒魔法レベル3
無詠唱
固有スキル
自動障壁
種族固有スキル
瘴気発生
不死
自己再生
MP自動回復
HP自動回復
死霊魔法
称号
死を経験したもの アンデットの王 ダンジョンボス
加護
(な、何だこのステータス。完全に負けてるじゃないか。どうやってこんな化け物に勝てってんだよ…)
すると今までじっと立っていただけだったリッチが動いた。
ドォォォォン
危険察知が発動し咄嗟にとびのいたが、リッチの放った炎の魔法はそんなの関係ないとばかりに爆発し、熱風と石の欠片で確実にダメージを与えてきた。
「ぐっ!」
僕はリッチから距離を取り、炎の矢を雨のように連射してくる中をひたすら逃げ回った。
(マグマボール!)
倒す事は無理でも牽制になればと思って放ったマグマボールでさえも光の壁のようなもので防がれた。おそらくあれが固有スキルの自動障壁だろう。見た感じ今僕の使える魔法で破ることは無理そうだ。しかもスキルなのでMP消費がない。だからMPが切れるまで攻撃し続けるのも不可能だ。
(さてどうするか。マグマボールすら全く効いていないし。ディメンションボールもこの様子じゃあ意味ないだろうし、影魔法だと威力が足りないし血魔法もアンデット相手では毒なんて意味が無い。うんどうしようもないな。頑張って近接戦挑むか)
ゴウッ!
「うおっ!」
考え事していると危うくリッチの魔法に当たりかけた。
(うん。とりあえず逃げよう!)
こんなの勝ちようがないしね。魔力切れれば近づけるからいけるかもしれないけど。