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十一話 到着そして登録

その後、3時間ほど飛び続けてだんだん東の空が白み始めた頃、街の外壁が見えてきた。迷うことはなくなったし、魔力も心もとないので蝙蝠化を解除して歩き出した。


(なあリッチ、僕お金も身分証も無いのに街に入れてもらえるの?)


因みに飛んでいるときにリッチから念じるだけで話せると聞いたのだ。蝙蝠のときにどうやって話そうかと迷っていると教えてもらった。


『モトヤマはステータスを開示するだけで入れるぞ。何でも勇者が街を作ったときに、貧しい村から出稼ぎに来た身分証も金もない者たちが街に入れるようにそういう仕組みにしたそうだ』


(ふーん、それは助かるな。でもそれだと盗賊とかが街に入らないのか?)


『犯罪者なら称号欄に犯罪者と分かる称号が出てくる。盗賊なら盗賊。殺人を犯したなら殺人者といった風にな』


(なら安心だな。)


話しているうちに門のところについた。


「ステータスを開示してくれ」


「分かった。ステータスオープン」


名前  カケル


種族  吸血鬼族(純血種)


称号




実は異世界人の称号の効果でステータスが隠蔽できるのだ。

それだけでは無く、ステータスそのものも見せたくない項目は見せなくていいようになっているらしい。

ただ、それで例えば称号を見せないようにすると特定の称号だけではなく、称号という欄そのものがなくなってしまうので、それを使って盗賊が入り込むのはやはり無理らしい。


「よし。特に問題ない。入っていいぞ。」


「どうもそれより冒険者になりたいんだが、ギルドはどこだ?」


「中に入って少し行くと盾と交差した剣の看板がかかっている大きな建物が見えてくる。そこが冒険者ギルドだ」


「ありがとう」


そして門に入ってしばらく歩くとさっき聞いた建物が見えてきた。


(そういえば純血種だったのにあまり驚かれなかったな。吸血鬼は数が少ない上、純血種まで至るのは難しいのかと思ってたんだが。)


『いや、純血種くらいまでなら結構いるぞ。まあそこから真祖とかになると一気に減るのは事実だ。純血種までは比較的簡単になれるが、真祖は進化する条件がある。その条件を満たせるやつが少ないから必然的に真祖以上も少なくなる』


(そういうことか。)


ギルドについて中に入ると早朝にも関わらず、結構冒険者と思しき人たちが多かった。

そしてその中から柄の悪そうな男が立ち上がって近寄ってきた。


(お、これはもしかしてテンプレか?)


少しウキウキしながら見ていると男は立ち止まり口を開いた。


「おい坊主。お前登録か?」


「そうだけど?なにか問題ある?」


わざと少し生意気に言ってみた。さあどういう反応をする?と観察していると急に笑い出した。


「ガハハハ!俺に怯えず言い返してくるとはな!気に入った。俺はランクC冒険者のガッツってんだ。お前の名前は?」


「カケルだ」


「カケルか。なんか困ったことがあったら相談してこい。力になってやる」


前言撤回。この人柄悪いどころかめっちゃいい人だ!


「ありがとう。何かあったら相談することにするよ」


「おう。そうしろそうしろ。俺は基本的に朝晩はここにいるからな。因みに登録は右から二番目のカウンターだ。じゃあな!」


ガッツさんに教えてもらったカウンターに行くと受付のお姉さんがニコニコと笑っていた。


「よかったですね。普通こんなすぐに高ランク冒険者と知り合いになんてなれませんよ。それでは改めて。冒険者ギルドモトヤマ支部へようこそ!ご用件は登録で宜しいですか?」


「はい」


「そうですか。それではこの紙に記入をお願いします。代筆はいりますか?」


「大丈夫です」


僕は渡された紙に記入していった。名前はカケル、戦い方は魔法と刀、職業……ってなんだ?


「すいません。職業ってなんですか?」


「神殿で祈ることで得ることができるものです。下位職業と中位職業、高位職業と最高位職業があり、大抵は下位から初めてだんだん上げていきますが、たまに中位や高位の職業からスタートできる人もいます。まだ登録していないならこのあと神殿に行くことをオススメします」


「ありがとうございます。書けました」


「はい。冒険者ギルドの説明はいりますか?」


「お願いします」


「分かりました。冒険者ギルドのルールは2つ。

1つ、ギルド内で争わない。

暴れたければ裏手に訓練場がありますのでそちらでお願いします。これを破ると罰金、もし何度も続けて破るようならランク降格、最悪冒険者資格の剥奪も有り得ますのでご注意ください。

もう一つはギルドからの指示には従うこと。

こちらはよほどの理由がない限り破ったらすぐ降格です。ただ指示そのものが余程のことがない限り出されないものですのであまり関係ないですね。ここまでは理解できましたか?」


「はい」


「では続きを。依頼の種類は4つ。

1つは恒常依頼

これは常に設置されているギルドからの依頼で、例えばゴブリンの討伐や薬草の採取などがこれに当たりますね。

次に通常依頼

これは普通の依頼でギルドからでは無い依頼ですね。採取依頼、討伐依頼、雑用依頼があります。採取はその名の通り薬草や果実などを採取してくる依頼。討伐は例えば『オークを討伐』などのように討伐してくる依頼です。雑用は荷物のお届け、掃除、護衛、調査などですね。

次に指名依頼

これは貴族や王族、名のある商人の方などが自分の依頼を受ける冒険者を指名してだす依頼ですね。普通の依頼より難易度は高いことが多いですが、その分報酬も高額です。

最後に緊急依頼

これは街や国などに危機が迫ったときに出される依頼で、指定のランク以上の方なら誰でも何人でも受けられます。というか受ける事が推奨されています。別に受けなくても罰則はありませんが周りから白い目で見られます。

依頼については以上です。質問はありますか?」


「モンスターを討伐したとどうやって示せばいいんですか?」


「モンスターには討伐証明部位というのがあります。討伐証明部位はギルド以外では買取はしていません。他に質問はありますか?」


「分かりました。ありがとうございます。他には質問はありません」


「では最後にランクについてですね。ランクはHからEXまでありますが、EXは初代勇者様が世界を救った功績によって特例で作られたランクですので気にしないでください。HとGが見習いでFからが一人前と呼ばれるレベルです。そしてCまで行けば一流と呼ばれ、Bまで行けば超一流、AやSはもはや英雄と呼ばれるレベルです。モンスターのランクは同ランクの冒険者が一人で倒せるランク、というかランクアップの条件がそのランクのモンスターを一人で倒せることです。例えばEランクの人がDランクのモンスターを一人で倒せると試験で示せばランクアップです。因みにモンスターを依頼と関係ないところで倒しても余程高位のモンスターでない限りランクアップには関係しません。大抵始まりはHからですが、特例としてモンスターや野草の知識を一定量もっていると筆記試験で示せばGから、戦闘技術があればFからスタートできます。試験を受けますか?」


「はい。お願いします。」


「ではこちらに来てください。私の名前はフェルです。カケルさんの試験官を務めさせていただきます。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


どうやらこの人がそのまま試験をしてくれるようだ。

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