俺は、恋を。
「好きだよ」
「あ…ぇ?い、いきなりなんだよ」
「お前が、好きだよ」
「…は、なに、からかってんの」
カサカサだ。口が乾く。心臓の音が煩い。
俺は同性愛者だ。そのことに気が付いたのは一体いつの日だったか。
小学校を卒業後するころにはもう、自分が同性しか愛せないということに薄々気がついていた。
はっきりとした恋をしたのは中学二年のときだ。
部活の先輩だった。
これといった特徴はない、普通の男だった。
なぜ好きになったのかはわからない。しかし、はっきりと俺はその時恋をしていた。
目が合うと苦しくなる。一言話せただけでその一日は気分が上がった。
先輩が卒業するとき、俺は告白をした。
もう、会えないから。最後の思い出に。
俺と先輩は仲が良かった。自惚れではなく、お互いに好意を持っていた。
でも、好意の種類が違った。
俺にとって先輩は性的対象だった。愛していた。
先輩にとって俺はかわいい後輩だった。愛ではなかった。
理解不能なものを見る目だった。気持ちが悪いと、裏切られたと。
その時思った。ああ、そうか。そうなんだ。
この想いは伝えてはいけないものだったのだと。
伝えなければ美しい思い出で終わったのにと、後悔した。
恋なんてしないほうが良い。苦しいだけだ。空しいだけだ。
そう、決めたのに…。
俺は今、恋をしそうだ。
あれから何年もたって、社会人になった今。
幼馴染のあいつの言葉に、心臓が騒いでいる。
BLが書きたくなった。後悔はしていない。
幼馴染視点も書いてみたい…