9・こんな所にもクズが。
遠目からでは分からなかったが近くで見るとどうやら集落だったようだ。木造の小屋がたくさん散りばめられている。その中で一際立派な造りの木造の屋敷があるな。あそこには何があるんだ?
高くを飛びすぎて下を見ても蟻みたいに小さいのが数十体、忙しなく動いていることしか分からない。
少し高度を下げてみるか。
…ん?こいつらは…人間…?いや、俺の知ってる人間ってあんな全身緑で角なんか生えてなかったはず…。鑑定さん、出番です。
【種族】ゴブリン♂
【ランク】F-
【名前】
【Lv 】3 [15]
【HP】14[14]
【M P】3 [3]
【ATK】7
【DEF】2
【素早さ】10
【攻魔力】0
【防魔力】0
【特技スキル】
〔槍術 Lv2〕〔投擲術 Lv3〕
【特殊スキル】
【耐性スキル】
〔空腹耐性 Lv4〕
【称号】
鑑定レベルが上がって初めて自分以外を鑑定してみたけど全部見れるんだな。性別まで見られるようになったのか。あれ…?俺のステータスには性別なんて無かったぞ…?どういうことだ…。分からねぇもんは分からん。スルー案件だな。
こいつらの種族名ってゴブリンって言うのか。言われてみればゴブリンそのものだな。それにしても弱いな。適当に何体か鑑定したけどほとんどこんなステータスだった。雌もちらほらいる。
俺は今、非常に感動している。久しぶりに魔物に出会えた喜び。
みなさん、初めまして!俺の種族名はマータドラゴンって言います!名前はみなさんと一緒で、ありません!できれば今持ってる武器を下ろしていただけると嬉しいです!って心の中で言っても意味ないよなぁ。
とりあえずマジで武器は下ろせ。木でできてるとは言え危ない。
って、ちょ、おい、何で槍投げてくんだよ!危ないだろ。まだ出会って数十秒だろ?いきなりは無いわ。
こっちは挨拶しただけだろ?心の中でだが。
おわっ!?危ねぇ。さらに槍が飛んできた。2発目を皮切りに次々と槍が飛んでくる。
そっちがその気ならこっちだってやっちゃうぜ?
とりあえず火のブレスでも喰らってろ!
「ガァァァァァア」
「グギャッ」「グギャアアアアアア…」「グギャッ!?グギャアアアアア」
あちらこちらで断末魔が聞こえる。ざまぁ。
〈経験値が一定に達しました〉
〈レベルが9になりました〉
一気に上がったな。たしかまだレベル1だったろ。まぁ、それだけ死んだってことか。さて引き続き焼き殺すか。
「グガァァァァァア!!!」
うるさいな。野太い雄叫びが聞こえてきた方向を見ると屋敷から筋骨隆々としたゴブリンが側に2体のゴブリンを従えて出てきた。側にいる奴も他のゴブリンとは少し違って見える。片方は鉄の剣を携えていて、もう片方は杖を持っている。と言うかそれ単なる枝じゃね?
【種族】ゴブリンソルジャー♂
【ランク】F+
【名前】
【Lv 】2[25]
【HP】32[32]
【M P】15[15]
【ATK】29
【DEF】10
【素早さ】13
【攻魔力】2
【防魔力】0
【特技スキル】
〔剣術 Lv5〕〔投擲術 Lv4〕
【特殊スキル】
〔腕力 Lv2〕
【耐性スキル】
〔空腹耐性 Lv3〕
【称号】
【種族】ゴブリンメイジ♀
【ランク】F+
【名前】
【Lv 】2[25]
【HP】14[14]
【M P】30[30]
【ATK】8
【DEF】6
【素早さ】9
【攻魔力】26
【防魔力】24
【特技スキル】
〔火魔法 Lv2〕
【特殊スキル】
〔魔力感知 Lv/〕〔魔力操作 Lv1〕
【耐性スキル】
〔空腹耐性 Lv3〕
【称号】
【種族】ゴブリンキング♂
【ランク】E
【名前】
【Lv 】7[35]
【HP】98[98]
【M P】40[40]
【ATK】56
【DEF】38
【素早さ】25
【攻魔力】12
【防魔力】8
【特技スキル】
〔剣術 Lv6〕〔投擲術 Lv6〕
【特殊スキル】
〔腕力 Lv4〕
【耐性スキル】
〔痛覚耐性 Lv3〕
【称号】
〔ゴブリンキング〕
やっぱキングって言うだけはあるな。群を抜いてステータスが高い。【称号】ゴブリンキングってなんだろう?
〔ゴブリンキング〕
〈ゴブリンの王に与えられる称号〉
〈恩恵:優秀な個体を生む〉
なるほど。【称号】から推測するに、側にいる奴らはキングの子供だろう。
鑑定してたらいつの間にかキングとその子供たちが俺の真下まで来ていた。キングとソルジャーは仲間のゴブリンから槍を受け取り俺へと投げてきた。まぁ、普通に躱すわな。するとメイジは火魔法で拳ほどの大きさの火の玉を放ってきた。これも難なく躱す。次々投げてくるけど正直余裕で躱せるわ。
と、余裕ぶっこいてたらキングからさっきよりもさらに速いスピードで槍が飛んできた。油断させておいてここって時に本気を出してきたか。ゴブリンのくせに頭が使えるんだな。今のはちょっと危なかったぞ。
キングの顔が悔しさで滲む。その場に座ってふてくされてる。見てておもしろいな。少ししてキングは立ち上がるとソルジャーの腰に携えている鉄の剣を無理矢理奪って俺に向かって投げてきた。そして躱す。今のヤケクソだっただろ。
ソルジャーがあんぐりと口を開けてキングを見つめている。その間もメイジは火の玉を俺に放っているがその目はチラチラとソルジャーの方を見ている。同情してるんだな。やっぱり見てておもしろいな。
ずっと見ていたいからとりあえずキング達は後回しにして他のゴブリン達は殺しておくか。事の発端はこいつらゴブリンだし。あと何故かキングらが出てきてからは戦勝ムードで騒いでるし。ちょっとイラッとしたし。ってこと火のブレスでちゃっちゃと殺っちゃいましょ。
「ガァァァァァアアアアァァァァアア」
「ギャッ!」「グギャアアアアアア」「グギャ!?グギャアアアアアア…」
半数くらいはやったかな。
〈【特技スキル】〔ブレス火 Lv3〕が〔ブレス火 Lv4〕になりました〉
〈経験値が一定に達しました〉
〈レベルが20になりました〉
〈レベルが一定に達しました〉
〈進化が可能となりました。進化先を表示します〉
一気にレベルMAXになったか。
さて、進化先はーっといやいやいやいやいやちょっと待て。
今はそれどころじゃないからパスするに決まってるだろ!進化はこいつら殺った後だわ。
それにさっきからキングが槍投げてきてんだよ。うかうか進化なんてしちゃいられねぇよ。
ちなみにソルジャーは隅の方で膝抱えて泣いてるみたいだ。鉄の剣が無くなったのがそんなにショックか。確かに奴のスキルに剣術があったし剣無いと戦えねぇもんな。でもお前、投擲術もあるんだけどなぁ。メイジはそんなソルジャーを慰めている。実におもしろい。
キングはもう飽きたしさっきから槍投げがウザいしゴブリン共々殺すか。スキレベが上がったばかりの火のブレス、篤と喰らうがいい!
「ガァァァァァア」
うんうん、よく燃えてるな。…あれ、キングがいない?奴はどこ行った!?
あ!あいつ1人で逃げてる。待て待て逃がすわけねぇだろ。
〈【特技スキル】〔殺気 Lv1〕が〔殺気 Lv2〕になりました〉
スキレベが上がった瞬間、奴はビクンと立ち止まり、首を機会仕掛けのようにグギギと回しながらこちらを見た。バッチリ目が合ったね。今行くよ。
「ガァッ!」
「グギャァァァァァァァア」
ブチッ
思いっきり体当たりしたら頭を地面に打ち付けてそのまま潰れた。
やだ、グロい。見てられないから燃やすか。
うん、これでよし。
後はソルジャーとメイジだけだ。奴らを見ると2体とも恐怖で顔を歪ませている。まさか自分たち以外が全滅するなんて思ってもみなかったのだろう。増してやキングまで死んだしな。
ククク…さぁどうする。まだやるか?まだやるようだな。
ソルジャーは立ち上がり無理矢理メイジの杖を奪うと俺に投げてきた。難なく躱す。やることが親子そっくりで最低だな。
メイジは軽蔑の眼差をソルジャーに向ける。そりゃそうだろ。慰めてやっていたのに裏切られたんだもんな。これには流石に俺も同情するわ。
さて、メイジには悪いけどそろそろ死んでもらおうかな。久々の戦闘に俺、もう疲れたからさ。ちゃっちゃと終わらせて休みたい訳よ。
最後に一言。おもしろいもん見させてくれてありがとう。てことで焼け死ね!
「ガァァァァァア」
〈【特技スキル】〔ブレス火 Lv4〕が〔ブレス火 Lv5〕になりました〉
〈【称号】〔ゴブリンキラー〕を取得しました〉
〔ゴブリンキラー〕
〈ゴブリンを100体討伐すると与えられる称号〉
〈恩恵:ゴブリン系に与えるダメージが増える〉
ちょうど奴らで100体だったか。
因みに今のステータスは、と。
【種族】マータドラゴン
【ランク】E
【名前】
【Lv 】20[20]
【HP】75[180]
【M P】3 [110]
【ATK】128
【DEF】96
【素早さ】102
【攻魔力】83
【防魔力】80
【特技スキル】
〔ブレス火 Lv5〕〔ブレス風 Lv3〕〔風魔法 Lv4〕
【特殊スキル】
〔殺気 Lv2〕〔鑑定 Lv6〕〔魔力感知 Lv/〕〔魔力操作 Lv3〕〔飛行 Lv5〕
【耐性スキル】
〔火耐性 Lv4〕〔空腹耐性 Lv4〕〔恐怖耐性 Lv1〕
【称号】
〔Gから成る者〕〔ゴブリンキラー〕
おぉ、100越えてるのがちらほらあるな。強くなったなぁ、俺。
あ、レベルMAXだったの忘れてた!進化したら寝ようかな。ってことで進化先カモン!
〈1:腐食竜〉
〈2:災害竜〉
〈3:絢爛竜〉
〈4:名もない子竜〉
これは…
誤字があるとの報告より
誤 殺気 Lv1
正 殺気 Lv2
に修正しました。