8・翼の生えたクズ
出発して9日目。
空腹が限界に達してガロの実を食べた。
〈経験値が一定に達しました〉
〈レベルが10になりました〉
〈レベルが一定に達しました〉
〈進化が可能となりました。進化先を表示します〉
おぉ、もうそんなレベルだったのか。どれどれ進化先はどうなってるのかな。
〈1:マータドランゴ〉
〈2:グーリードラゴン〉
〈3:フェルゼフィア〉
【種族】マータドラゴン
【ランク】E
〈ドランゴの進化先〉
〈肉が独特の臭味を放つため餌として狩られることはほとんどなくなった〉
〈飛行能力を得る〉
〈計り知れない潜在能力を秘めている〉
【種族】グーリードラゴン
【ランク】E
〈魔法系スキルを取得していると進化先に追加される〉
〈魔法系スキルを得意とするドラゴン〉
〈魔法系スキルレベルが上がりやすくなる〉
【種族】フェルゼフィア
【ランク】E+
〈プチフェルゼフィアの成体〉
〈火属性と風属性のスキルを取得していると進化先に追加される〉
〈火属性と風属性のスキルを得意とするドラゴン〉
〈火属性と風属性のスキルレベルが上がりやすくなる〉
ふむ。これだな。
今回のは迷わなかったな。マータドラゴンだ。理由は2つある。
1つ目は前回同様、潜在能力だ。何故かこれに惹かれるんだよな。不思議だな。
2つ目は飛行能力だ。これ欲しかったんだよな!今まではドラゴンのくせして飛べなかったからなぁ。正確にはドランゴだけど。よく似たようなもんだろ。
けど今回の進化で飛べるようになる!空中からこの森の規模を確かめてぇ。目視できる距離が今より数十倍は広がるに間違いねぇ。場合によっては進む方向を変更することになるかもしれねぇ。
よって1のマータドラゴンでお願いします!
〈進化を始めます〉
相変わらず全身が光り輝いている。うおおお!体が作り替えられてる感がすごいぞ。そう言えばもう痒みは感じなくなったな。その代わり翼の付け根がとてつもなく熱い。あっつい!ちょ、待って熱すぎぃ!あちゃちゃちゃちゃちゃあああああ!!じ、地面に背中をこすりつけて冷やそう。ごしごしごしぐりぐりぐりごしごし──。全然熱いいいいい!痛めつけただけだったぁぁぁぁぁあ!
進化が完了した。そして背中が汚れた。あと痛い。
立ち上がると目線がかなり高くなっていた。だいたい2mくらいだろうか。全長はおよそ5mくらい。かなり大きくなったな。
翼を広げてみる。
おぉ!これぞまさしくドラゴンって感じだな!
〈【種族】マータドラゴンの進化特典として【特殊スキル】〔飛行 Lv1〕を取得しました〉
飛行能力ゲットだぜ!これで空を自由自在に飛べるぜ!!
飛べなかった…。さっきから全力で翼をパタパタしてるけど全然飛ぶ気配がしない。そう言えばまだレベル1だったな。レベル低いと飛べねぇの?期待してた分、落胆でダメージがでかいぞ。
〔飛行〕
〈翼を使って飛ぶことができる〉
〈一定の大きさの翼が無いと飛ぶことができない〉
〈スキルレベルが上がると飛行距離と高度が上昇する〉
〈使用することでスキルレベルが上がることがある〉
要はスキレベを上げろってことだな。じゃないと飛べない、と。飛べないとは書かれていないけど実際飛べなかったから多分そういうことだろ。これも要特訓スキルに仲間入りだ。
ってことで早速特訓してみよう!
普通にやって飛ばないなら助走を付けてみようか。
ダッダッダッダダダダダダダダ
てやっ!
ピョンッ
ズザァァァァァァァァ
いてててて。助走はダメか。いや、飛ぶ瞬間に下に向かってブレス風を使ってみるか───
まぁ、ちょっとは浮いたね。あれは飛んだと言うより浮いたと言う方が正しいね。ついでにブレスだけじゃなく魔法も使ってみるか。
おぉ!さらに浮いたぜ!しかしこれ以上は翼でパタパタしても高く上がらないな。これがレベル1クオリティか。ショボいなー…。
〈【特殊スキル】〔飛行 Lv1〕が〔飛行 Lv2〕になりました〉
おぉ!スキレベ上がった!レベル2になって何が変わったかなー?早速確認だ!
ふむふむなるほど。さっきよりかは高く浮いたな。でもそれだけだ。もうね、自由自在になんて飛べるのか怪しくなってきた。
せめて高度はもっとあげたい。上空から見てこの森の規模やどの方向に進むべきかを確かめなきゃこれ以上進めない。もし下手に進んだ先に何も食料が存在せず、餓死するなんて事になったら死んでも死にきれない。魔物が多数存在するエリアがあればそこへ行きたい。そのためにほとにかく今は飛行のスキレベを上げることに集中しよう。
2日後
この2日間、ひたすら飛行のスキレベを上げていた。その成果もあって、飛行のスキレベは4になり飛距離がかなり延び、高度はブレスや魔法の補助無しで4~5mは飛べるようになった。しかしまだまだ高度が足りない。もっと高く。もっともっと高く。もっともっともーっともおおおおっと高く───
〈【特殊スキル】〔飛行 Lv4〕〔飛行 Lv5〕になりました〉
ほいキタ!これで少しは…
おぉ結構高くまで飛べるようになったな。しかも小回りも利くようになった。これで自由自在に一歩近付いたんじゃねぇの?
っと、そんなことより森の規模の確認と進むべき方向の決定をしなきゃ───
な、なんじゃこりゃ…。予想はしてたけど直接見るとショックは大きいな…。
見渡す限り森。いや、樹海だな。これじゃどっちに進めば良いのか判断できねぇ。
……ん?あんなところに森が開けた場所があるな。ここからじゃ結構遠いな。ちょっと気になるからあそこを目指して進むとするか。もしかすると何かがいるのかもしれねぇ。この孤独ともお別れになる時が近いのかもな。
よし、準備─と言ってもガロの実を魔法で持つだけ─もできたしあの場所目指して出発しよう。もちろん飛んでな!