6・計り知れない
腹減ったぁ…。あれから何日経った?4日くらい?だいぶ歩いたな。この間、何1つとして口にしてないんだけど…。
〈【耐性スキル】〔空腹耐性 Lv2〕が〔空腹耐性 Lv3〕になりました〉
あ、さっきよりマシになったようだ。これはぜひ上げたいスキルだな。特に今の状況では非常に重宝するスキルだ。
他にも今のうちにスキルレベルを上げとくか。とは言ってもブレス火だけなのだが。鑑定はずっとやってる。その成果もあって今はレベル4になってる。そしてステータスがこちら。
【種族】コモドラン
【ランク】F-
【名前】
【Lv 】2 [5]
【HP】19[19]
【M P】9 [9]
【ATK】10
【DEF】5
【素早さ】6
【攻魔力】8
【防魔力】3
【特技スキル】
〔ブレス火 Lv2〕
【特殊スキル】
〔殺気 Lv1〕〔鑑定 Lv4〕
【耐性スキル】
〔火耐性 Lv2〕〔空腹耐性 Lv3〕〔恐怖耐性 Lv1〕
【称号】
〔Gから成る者〕
また項目が増えたようだ。
【素早さ】〈あらゆる速さ〉
【攻魔力】〈魔法による攻撃の強さ〉
【防魔力】〈魔法による攻撃の防御の堅さ〉
こんな項目があったのか。
【素早さ】の説明が漠然としてるなぁ。なんだよ、あらゆる速さって。あれか?移動速度とか戦闘においての速さってことか?まぁ、そういうことだろ多分。
さて、休憩は終わりにして進むとするか。
それにしてもいくら空腹耐性があるとは言え、腹が限界だぞ?最終手段はその辺の草や転生初日に食べたクソ苦い葉、つまりあちらこちら見渡す限りある木の葉ってことなんだけど…。
鑑定してみると
〈雑草:嘔吐作用がある〉
〈ガロの葉:ガロの木になる葉。毒消しに煎じて飲まれていたが効果は薄く、尋常じゃないほど苦いため殆ど使われなくなった。〉
へぇ、ガロの木って言うんだなここらの木って。どうでもいいわ。
どう考えても食用じゃないんだよなぁ…。どうすんだよこれ…。もうこれ詰んでるだろ。魔物は出ない、あちらこちらに存在する植物は食べられない…っていったいどうしろと?
もう無理だぁ…神は俺に死ねと言ってるんだぁ…。
意識が朦朧としてきた…。
ドサァ…
あぁ、まさか空腹で死ぬとはな。せめて綺麗な青空を眺めて死にた──な、何だあれは!!!
〈ガロの実:ガロの木になる実。葉は苦いが実はとてつもなく甘く栄養価が高い。わずかに経験値も含まれている。どんな生物も5個食べると満腹になる。数万本に1本の木になると言われている〉
パッと見、20個はあるな!これで満腹に…。
フフフ…だがもう俺は1歩も動けないんだぜ?それなのにどうやって木に登って穫れと?火の息使うか?いや、木ごと実まで燃えてしまうだろう。
と、なると…アレに賭けるしかないか…
大きく息を吸ってー吸ってー吸ってー吸ってー…
はい吐いて!!
「フゥーーーーーーーーー!」
ダメだ…やっぱりビクともしな───
〈【特技スキル】〔ブレス風 Lv1〕を取得しました〉
キ…キ…キキキ…キタァァァァァ!!!
賭けに勝ったぁぁぁぁ!!!神は俺を見捨てていなかった!って言うか、いくらスキル獲得条件が緩和されてるとは言えチョロすぎるだろ!息吹いただけだぞ!いや、それが狙いだったんだけどよ!
まぁいい。これであの実が穫れる!!
「フゥーーーー」サァァァァァア
風の息が小さな竜巻となって木へと向かっていく。
ボトッ
痛い。
ボトボトボトッ
痛いって。
ボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボト
だから痛いっつってんだろ!!!殺す気か!!直径3㎝ほどなのに見た目に反して質量あるな。今、自分に鑑定使ってみたら残りHP3だったぞ。餓死直前の俺にこの追い討ちは辛いな。泣きそうだ。
とりあえず側にあった実を1つ食べる。
う、美味い…。美味過ぎて涙が出てきた。
そのまま一気に4つ食べた。
ふぅ、もう食えねぇ。満腹作用は本物だったようだ。あれだけ腹減ってたら5個で満腹になると言われても疑っちゃうじゃん?じゃん?じゃん?
〈経験値が一定に達しました〉
〈レベルが5になりました〉
〈レベルが一定に達しました〉
〈進化が可能となりました。進化先を表示します〉
〈1:ドランゴ〉
〈2:レッドドランゴ〉
〈3:グリーンドランゴ〉
〈4:プチフェルゼフィア〉
前回、1種類しか無かったのが今回は3種類も増えてるな。選ぶの迷うなぁ。
進化先って鑑定できるのかな。
【種族】ドランゴ
【ランク】F
〈コモドランの進化先〉
〈餌の域を出ない〉
〈計り知れない潜在能力を秘めている〉
【種族】レッドドランゴ
【ランク】F
〈火属性のスキルを取得していると進化先に追加される〉
〈主に火属性を得意とするドランゴ〉
〈餌の域を出ない〉
【種族】グリーンドランゴ
【ランク】F
〈風属性のスキルを取得していると進化先に追加される〉
〈主に風属性を得意とするドランゴ〉
〈餌の域を出ない〉
【種族】プチフェルゼフィア
【ランク】F+
〈フェルゼフィアの幼体〉
〈火属性と風属性のスキルを取得していると進化先に追加される〉
〈主に火属性と風属性を得意とする〉
〈潜在能力を秘めている〉
……。
…ドランゴ系、頼むから餌の域から出ろよ!!選びたくねぇよ、餌なんか!
と、なるとプチフェルゼフィアかなぁ。こいつは餌じゃねぇみたいだし。
しかしこの〈潜在能力を秘めている〉と〈計り知れない潜在能力を秘めている〉の2つが気になるんだよなぁ。『計り知れない』が有るのと無いのとでの違いがよく分からんな。ステータスに影響するとか?それとも進化先?
う~ん実に迷うな。正直『計り知れない』が気になって仕方ないんだよな。
10分経過。
そう言えばこの辺りは魔物もいないみたいだし手元にはガロの実が山のようにあるからとりあえず死の危険性は無いな。
と、すると『計り知れない』のドランゴにするか?ガロの実でレベル上げてさっさと次に進化するのもありだな。いや、それはプチフェルゼフィアもいけるな。うーん迷う。
30分経過。
よし!やはりここは『計り知れない』のドランゴにしよう!いや、でもプチフェルゼフィアも捨てがたい。何と言っても『餌』じゃない。えーマジでどうしよう…。
20分経過。
もうこうなったらアレしか方法がない!
どーちーらーにーしーよーうーかーなーてーんーのーかーみ─────。
1のドランゴにします!
〈進化を始めます〉
全身が光り輝きだした。これで2回目か。全身が痒いが前回ほど痒くはない。
光が収まった。
変化を確認しようとしたがすぐに変化に気がついた。どうやら身長が伸びたようだ。今は1mほどになった。いつもより少し目線が違うだけでこんなにも新鮮な気分を味わえるなんてな。
進化も完了したようだし鑑定してみるか。
【種族】ドランゴ
【ランク】F
【名前】
【Lv 】1 [10]
【HP】23[23]
【M P】14[14]
【ATK】17
【DEF】10
【素早さ】13
【攻魔力】9
【防魔力】6
【特技スキル】
〔ブレス火 Lv2〕〔ブレス風 Lv1〕
【特殊スキル】
〔殺気 Lv1〕〔鑑定 Lv4〕
【耐性スキル】
〔火耐性 Lv2〕〔空腹耐性 Lv3〕〔恐怖耐性 Lv1〕
【称号】
〔Gから成る者〕
ステータスは少し上がったのかな。最後に鑑定したのは進化前のレベル2だった頃だからその時に比べたら上がってるけど恐らくレベル5の時と比べると下がってそうだな。進化直前に鑑定しなかったから憶測でしかないけど。レベル1にしては少しは上がってはいるってことでいいのだろうか。
鑑定も済んだしこれからの事を考えよう。
ここにはガロの実がたくさんある。だからしばらくは食料には問題ない。レベルアップもできる。ここを拠点とする分には。
しかしまだ歩くべきだとも思う。この実が無くなったらどうする?この辺りには魔物がいない。つまり食料が無いと言うこと。先を見据えて先に進むべきだろう。せめて他に食料を調達できるまでは。ただ、進むとなるとガロの実を捨てなければならない。袋か何か入れ物があればこうも悩まなくて済んだんだけどな…。持ったまま移動することはできるが数は知れている。運ぶ手段が口と手だけだもの。
ん?運ぶ手段…?あるじゃないか口と手以外で!ブレス風がなぁ!!
どちらに進化させようか迷った。
当初はプチフェルゼフィアだったんだけど作者も主人公と同じく優柔不断なもんで…。
土地によっては違いが出るアレを使ってみました。
攻魔力と防魔力の説明を少々変更しました。