4・進化したクズ
〈進化が可能となりました。進化先を表示します〉
進化?なるほどなるほど。俺はこの小さな身体は成長して徐々に大きくなるものだと勘違いをしていたようだ。前世の性だな。
だが、違ったようだ。進化して、その度に姿を変えて成長していくようだ。今更ながらゲームみたいな話だな。こういうの嫌いじゃないな。
さて、進化先はと言うと…
1:コモドラン
1択うううううう!?つまらねええええ!優柔不断な俺としては1択はありがたいっちゃありがたいけどそれはそれで面白味が無いというか何というか…。
うん、じゃあとりあえず1のコモドランで。
〈進化を始めます〉
おお?何か全身が光り輝きだしたぞ?これが進化か?特に何も感じないんだな。って思ってたら顔が痒くなってきた。顔の痒みが治まったと思えば次は歯が痒くなってきた。なるほどこれが犬の気持ちか。何か咬む物くださあああああい!あ、光が収まった。
〈GランクからFランクへの進化特典として【特殊スキル】〔鑑定 Lv1〕を取得しました〉
〈【称号】〔Gから成る者〕を取得しました〉
ん?何か手には入った?【特殊スキル】と【称号】?ふーん。何だろうねこれは。とりあえず置いとくとしようか。
そんなことより木の幹ガジガジ咬むの超気持ちいいわ。えぇ!?何これ?どうしてこんなにも気持ちいいんだああああ!!ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ…………
ふと口周りを触れてみた。どうやら牙が生えたみたいだ。
ガジガジガジガジガジガジガジガジ…
ふぅ、痒みが治まったら急に冷静になってきた。
冷静になったついでにさっき取得したとか言う“鑑定”が何なのか試してみようかな。
とは言ったものの、どうしたらいいんだ?唱えてみるか?
「ガッガァ!」
変化なし。
良かったぁ、独りきりで。今の痴態、他人には見せられねえよ。
喋れないの忘れてた。う~ん…て、ことは念じてみるか?
鑑定!
〈対象を選択してください〉
ビクゥッ!?
び、びびったーー。いきなり目の前に文字が現れた。それはどうも、俺の視界とリンクしてるらしい。俺が動けば文字も同じように動いている。
じゃあずっと気になってた俺自身を鑑定してみようか。
【種族】コモドラン
【ランク】F-
【名前】
【Lv 】1 [5]
【HP】15[15]
【M P】6 [6]
【ATK】7
【DEF】4
【特技スキル】
〔ブレス火 Lv2〕
【特殊スキル】
〔殺気 Lv1〕〔鑑定 Lv1〕
あぁ、こんな感じで見れる訳ね。これも視界とリンクしてるのか。
名前は空白ってことは『なし』ってことか!?馬鹿野郎!俺には歴とした名前が……名前が…あれ…俺の名前なんだったっけ…?
まぁいいか。って良くない良くない!いや、良くないけど現時点ではどうしようもないからパスしよう。だって思い出せねぇんだぜ?お手上げだ。次行こう。
次は【Lv】の横の[ ]だな。これは恐らく最大レベルのことだろう。それ以外思いつかん!
同じ要領で【HP】【MP】の横の[ ]は最大値ってことだろう。これもそれ以外思いつかん!
他は書いてあるまんまってことだろ。
あれ?【称号】ねーじゃん。どこ行った【称号】このやろう。
〈現在のスキルレベルでは表示できない情報です〉
は?何だそれ?鑑定レベル上げなきゃ見れない訳?何それ面倒。スルー案件だな。
て言うか……よっわーーーー!
えぇえぇ、分かってましたよ。だって生後3日だもの。3日で最強だったらそれはそれでドン引きだわな。
いや待てよ…まだワンチャンあるんじゃないか?鑑定例が俺だけじゃステータスの高さの基準が分からねえ。もしかしたらこの一桁二桁のステータスが最高峰かもしれねぇ。
なんてな。どう考えても雑魚だよなぁ。ランクがF-だもんなぁ。明らかに上があるよな、これ。
しばらくステータス覧を眺めてたんだが、このコモドランってのは何者なんだろうか。
コモドランについてもう少し詳しく知りてぇな。
〈現在のスキルレベルでは表示できない情報です〉
えぇー、これもかよ!使えねえな、おい!
とりあえず、他に鑑定できる項目は…
【種族】
〈現在の自身における種族名〉
【ランク】
〈魔物にのみ与えられる危険度〉
〈最高はS最低はF〉
【名前】
〈自身以外の存在から名付けられ、それに納得すると名前が得られる〉
〈変更はできない〉
【L v】
〈魔物などを倒すと上がることがある〉
〈最大まで上げると進化する〉
〈進化しない可能性もある〉
〈[ ]は最大レベル〉
【HP】
〈ダメージを受けると減る〉
〈数値が0になると基本的に死ぬ
〈[ ]は最大値〉
【MP】
〈特技スキルを使用すると減る〉
〈数値が0になると全回復するまで特技スキルは使用できない〉
〈[ ]は最大値〉
【ATK】
〈物理による攻撃の強さ〉
【DEF】
〈物理に対する防御の堅さ〉
【特技スキル】
〈使用すると【MP】が減る〉
〈ある一定の条件を達成すると与えられることがある〉
〈使用することでスキルレベルが上がることがある〉
【特殊スキル】
〈ある一定の条件を達成すると与えられることがある〉
〈使用することでスキルレベルが上がることがある〉
ほうほうほう。ある程度予想通りだな。ん?あれ?ランク最低ってF?俺、確かGからFに進化したはずなんだけど…。〔Gから成る者〕に関係するのか?どういうことだ?もしかしてランクGはまだ魔物じゃないってことか?憶測しかできないのがなんともむず痒いな。
特殊スキルは使えば使うほどスキルレベルが上がるのか。つまり、〔鑑定〕は使えば使うほど有能になっていくって感じか。
じゃあ、早速…
鑑定!〈石〉
鑑定!〈葉〉
鑑定!〈木〉
鑑定!〈土〉
鑑定!〈石〉
鑑定!〈石〉
鑑定!〈木〉
見たら分かるわボケえええ!!!何これぇ?ポンコツ過ぎないか?Lv1だからか?でもこの調子じゃLv2になっても大して変化しないだろうな…。Lv3以降を目指そう!そうと決まれば続きだ!
しかし腹減ったなぁ…兎食べてから結構な時間が経ってるし何か食べ物が欲しい。
鑑定しながら食べれる物探すか。
鑑定!〈葉〉
鑑定!〈石〉
〈【特殊スキル】〔鑑定 Lv1〕が〔鑑定 Lv2〕になりました〉
お!割と早くにスキレベが上がったな。
コモドランについて鑑定できるかな。
〈現在のスキルレベルでは表示できない情報です〉
まだかよ。んー、いったい何ができるようになったんだ?
鑑定!〈普通の石〉
鑑定!〈苦い葉〉
何か少しだけ文字数が増えた…。
やっぱりLv2じゃ大して変化しないようだ。
鑑定も大事だけど食料をどうにかしないと。空腹でどうにかなりそうだ。
ハァハァ…腹減って死にそう…。兎以降、丸1日何も食べてない。それどころか生き物にすら出会えていない。辛いです。何が辛いって…食料にありつけないのもあるけど1番辛いのは孤独だ。独りは寂しいです。誰か構ってくださあああああい!誰もいねえええええ!!!うわああああああああ!!
「ガァァァァアアアアァァアアァァア!!」
ハァハァ、ひとしきり叫んだら落ち着いたな。
よし、気を取り直してレッツ鑑定&食探し!
「ガルォォォォオオオオオオオォォオ!!!」
ビクンッ!
え!?何!?何の音!?何かこっち来てる音がする!!!やばい隠れねえと!!でもどこへ隠れる!?木!木の上だ!!
ザッザッザシュッザッザッザザザザザ
「ガルルルルゥ…スンスン…ガルァ?」
ひぃぃぃぃい!!何か来たああああ!!匂い嗅がないでええ!真下でクルクル回らないでえええ!!!
ガサッガサガサ
「ガルァァ!?」
ザッザッザッザッザッザッ…
「ビギィッ!?」
「ガルァ!!」
「ビギャアアアアアアァァァ…」
運悪く見つかったらしいな。断末魔から察するに先日食べた兎と同種だろう。冥福を祈る。
ちなみにさっきあの虎モドキの去り際に鑑定しておいた。
【種族】タイガーヘッドベアー
【ランク】C
〈現在のスキルレベルでは表示できない情報です〉
分かったのは種族とランクだけ。てか種族名そのまんまだな!声に出して笑いそうになったけどここで声を出したらあいつが戻ってきそうで恐いから耐えたぜ!
案外近くに餌がいたんだな…。昨日から何も食ってないから俺にもよこせと言いたいところだが何せ、ランクC。勝てる訳がない。ここから離れて餌、探すかぁ。
いや待てよ。もしかしたら子兎がいる可能性があるな。奴がどっか行くのを待って子兎を探すとするかな。
矛盾点を発見したので修正しました。
進化したら全快って設定なのに進化後のステータス【MP】2〔6〕だったので【MP】6〔6〕に修正しました。
その後の
子兎に火の息使ったから【MP】が2しかない云々のセリフは消しました。