3・慈悲はない
うぅ…死ぬ…腹減った…。
転生して3日経った。この3日間ほとんど何も食べていない。
食べたものと言えばクソ苦い葉っぱだけだ。あんなもの食ったうちに入れたくない。
何か食べ物ぉ…食べ物をくださぁい…。
そうだ、自分の卵の殻があるじゃないかぁ…。
ここからだと少し離れてるけど行けない距離じゃない。多分…まだ…保つはず…。
や、やっと見つけたぞ。我が愛しの卵……よ?あれ…何か動いてる…。
モッサリした動物みたいなのが俺の卵の殻を食ってる。
あれは…兎かな。額に角が付いてるけどそれ以外は兎だ。フフフ…フハハ…ハーハッハッハッハー!海老で鯛を釣るとはまさにこの事!!
あの獲物は俺の物だ。絶対に逃がしはせん。
さて、どう料理してくれようか…。言っても焼くだけなんだけども。
俺は気配を絶って兎の死角となる位置へと着いた。
後は火の息を吐くだけなんだけど…出ない。何で出ないんだよ!!今出ないでいつ出るんだよ!!!ふざけんな早くしねえと兎が全部食べ終えて逃げちまうじゃねえか!早くしろ早くしろ早くしろ早くしろ兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎兎!!あーーーキタキタキタァ!込み上げて来たぁ!兎兎兎ぃ!!
あっ…逃げた…。殺気だだ漏れてた…やっちまっ…ん?まだ卵の殻が動いてるぞ?
子兎イターーーー!!!
こっちに気付いてないーーーー!
食べるのに必死かぁ♡これなら近づいてもバレないね。
おっと?親兎が子兎が付いて来ていない事に気づいたようだぞぉ?首を振って探してる探してる。まだ食べてることに気づいたようだな。
おいおいそんな目するなよ。庇護欲そそられちまうじゃねえか。私の子供を食べないでお願い♡ってか?
だが、残念。
庇護欲<食欲なんだわ。
子兎の丸焼き。おいしいだろうなぁ。
ってことで、いたらきまぁす♡
「ガァッ!」ボゥッ!
「ピギィッ!?ピギィィィィィ…」
御馳走様でした。
おいしかったです。
食べてる間、親兎はずっとこっちを見ていた。
我が子が食べられる様をずっと見ていたようだ。
親兎が物凄い殺気をこっちに飛ばしている。
お?やんのか?まだ食べ足りてなかったんだよなぁ。
火の息の準備も万端だ。さっきより何となくだが熱が集まりやすく感じたな。
まぁそれは今いい。今は親兎だ。おいしそうったらありゃしない。
どうやら親兎は額の角の標準を俺に合わせたようだ。
「ビギィッ!ビギュオオオオオ」
ただの一直線の突進だったから、俺は構わず避けた。すると親兎は方向転換のために旋回し始めた。横っ腹ががら空きだぜ!
「ガァァァァア!!」ボォォォォォォオオ
うわぁ、すっごい出たぁ。
「ビギャアアアアアアアアアアァァァァァァァァ…」
断末魔がよく響くなぁ。
〈経験値が一定に達しました〉
!?
声が聞こえるぞ!?
〈レベルが3になりました〉
〈レベルが一定に達しました〉
〈進化が可能となりました。進化先を表示します〉