2・クズが転生したら。
ここはどこだろうか…。真っ暗で物凄く狭いな。
あぁ、なるほど棺桶の中だな。にしては丸い気がするんだけども…気のせいか?
まぁ、それは置いておいて…俺は生き返ったのか?意識があるってことは生き返ったってことか!?
おおおおお!?マジか!?俺生きてたのか!!?よっしゃー俺生きてたーーーー!!
ん?あれ、上手く声が出せないな…。ンンッ!やっぱり声が出せない…。どういうことだ?
まぁいいや。とにかくここから出るか…心なしかさらに狭まってる気がするし。いや確実に狭まってるわ。
あれこれちょっとやばいんじゃないの?
俺、せっかく生き返ったのに死んじゃう!死んじゃうから!誰か助けてくださぁぁぁぁい!って声出ないんだったーーー!!!
どうするこれ!どうしたらいいんだこれは!ああああああやばいいいいいい!!!!
パキッ
ん?今変な音がしなかったか?
パキパキパキッ
あれっ?眩しい!ちょっと待って!すごく眩しいから!
なんか分かった気がするぞ。この丸い感じと言いパキパキ言ってる謎の音と言い。
もしかしてたまg...
いやあああああああああ!!人間じゃなくなってるううううう!!あと眩しーーーー。
卵から生まれる人間なんていないよね?
いないね。知ってたよ。ってこたなは俺はいったい何者?いやそれにしても眩しい。目がまだ慣れないな。
目が慣れるまでジッとしておくのが安全かな。
よし、やっと目が慣れたぞ。そして分かったことは空はいつも通り青いことと森の中にいることだけだ。
あと腹が減ったことぐらいだな。何か食べ物は…見渡す限り草、草、草、草、葉、葉、葉、葉、あと土と木。何にもねええええ。
仕方ない…葉っぱでも食うとするか…。
葉っぱ苦ぁい…。口の中が今まで食べたことがないような苦さで広がってるぅ。オェェ…。水、水をくださぁいぃ…お水はどこですか…?ついでに今の姿をちゃんと見てみたい。
手と体を見る限り人間ではないのは分かった。しかも鱗があるあたりおそらくドラゴン的な何か…。とにかくきちんと上から下まで見たい。そのためには水場を探さなくては。
ハァハァ…や、やっと見つけたぞ…。貴様は強敵だった…まさか探してた方向の反対側にあったとはな…。良かった、引き返して。
3時間前の俺をぶん殴って2時間59分前の俺を全力で褒め称えたいぜ。
とにかく口の中を洗いたい。3時間前の苦味がまだうっすら残ってるのだ。あとのど渇いたきら水飲みたいし。
その後口をしっかり洗った俺はじっくり水に反射する自分の姿を観察した。
結果、やはりドラゴンでした。自分で言うのも何だけど、割とかわいい部類に入るんじゃないだろうか。
ティラノサウルスを50㎝ほどに小さくして背中には気持ち程度のかわいらしい翼が付いていた。庇護欲誘うんじゃないのこれは?
洋服を初めて着た少女が鏡の前で腰をふりふりしてるみたいに水面に映った俺は無意識に腰をふりふりしてた。
気が付いた時にゃ顔から火が出るほど恥ずかしくなって真っ赤になった。
あれ、何か全身が熱いぞ。なんだこの感覚は。熱さがのどに集まって来てるようだ。気持ち悪い…吐きそうだ…。
「ガァハッ」ボゥッ!
!?火が出たーーーーー!!??
あっやばい草に燃え移った!水水!あぁぁだめだ!運ぶ手段がない!火事になる火事になる!逃げなくては!いや…ここで逃げても火が回って俺まで燃えて死に兼ねん。だって今の俺、飛べないし足遅いし短いしでにげおおせる気が全然しないんだよ。もうこうなったら腹で消すしか…覚悟決めろ俺!やらねば死ぬぞ俺!よし、行くぜ!!
「ガァッ!」
熱ううううう…くない?あれ、全然熱くない。鱗のお陰かな?まぁとにかく難は去った。
もう二度とあんなことが起きないように手で抑えて吐こう。くしゃみするときのように。