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シリンク帝国懲罰作戦1

一部アーサー・C・クラークの本のセリフをパクりました。

クラーク先生ごめんなさい。

 その後、議場ではリリンカム共和国から、地球人の紹介があった。


「いまから、新しい種族を紹介します。彼らの星は銀河系の第3枝のはずれに位置し、このキリガセント星から1万3千光年のかなたにあります。また、いまだ惑星内で地球人という種族そのものが統一されていないという状況にあります。しかし、かれらは動力を使った文明に入ってまだ200年以下、さらにその衛星に人を送って60年以下の期間で、すでに無限動力の実用化を済ませ、超光速飛行、ジャンプ飛行まで実用化しています。


 さらに、さきほど紹介した、導くものラリムが、ある種族を指導して決定的な武器を製造したという種族はかれら地球人です。

 未だ、地球人は惑星政府を作るという条件を満たしておりませんので、今現在の連合への加盟は出来ませんが、その条件を満たした暁には我々リリンカム共和国が推薦者として加盟をお願いします。今回の対シリンク帝国への懲罰に関して彼らの功績は大変大きなものです。紹介します。地球人の3人です」


 彼ら3人の巨大な像が議事堂に浮かぶ。

 リリンカム共和国の大使が紹介する。「最初に紹介するのは、地球の諸国連合の代表のジョン・リザート氏です。彼が実質的な現状での地球の代表者になるわけですので、この後少し挨拶をお願いします。次に地球防衛軍の司令官のアラン・ギリバニー氏です。彼の率いる防衛軍の主力艦は大きさこそわが連合軍の主力艦に劣りますが、能力は殆ど同等です。彼の傘下の地球防衛軍はその艦を1000隻配備しています」


 これには、感嘆の声がでる。なぜなら、連合軍の主力艦級の艦船を作れる、及び作るのを許されている種族はこの中の1割程度と少ないのである。


「最後に、この少年、かれは地球始まって以来の天才と言われ、最近の10年間に、先ほど紹介した無限動力の実用化、超光速飛行、ジャンプ飛行はすべて彼の影響下に開発されたということです。あと10年あるいは数十年したら、わが連合も追い抜かれるかもしれませんね」

 と笑うが、10年後さらにその後発言した本人も、出席者も、その言葉を何度も思い浮かべることになる。


 ジョン・リザートが挨拶をする。

「まずは、このような場所で、スピーチの場を与えられたことを、リリンカム共和国の連合大使殿にお礼申し上げます。導くものラリムのおかげで、皆さんのお役に立てそうだということでこの場に立たせていただいています。

 我々は、先ほど紹介があった通り、辺境の惑星の住民であり、いまだ惑星規模の政府の設立さえ果たせていません。しかし、我々はいま、めまぐるしい進化のただ中におり、たぶん今のわが地球の一年は過去の100年に相当するかもしれません。


 近いうちに、我々はこの銀河連合の正式な一員としてこの場に立つつもりです。またその後、そう時が過ぎない内に皆さんに地球人とは、ということを知ってもらえるものと考えています われわれは大変若い種族で、まだ未熟です。しかし、その可能性は大変大きいと自ら申して挨拶とします」拍手が巻き起こる。まあまあの反応らしい。


「おお、威勢がいいな!」という声もある。


 映像を切り、その後リリンカム共和国との協議に戻る。

 主たる相手は、軍務大臣サリカムル氏だ。


「我々の分析では、シリンク帝国人はまず銀河連合の提案を100%拒絶します。かれらのうぬぼれは際限がないですから、自分たち以上の存在というのは想像もできないでしょう。

 またいずれにせよ、あなたたちが作っている施設は移転する必要があります。それで、まずは地球で建設中の情報データベース、転送装置、自動倉庫および爆弾の建設の状況を教えてください」

 順平が答える。「現状では、情報データベースは完成し情報収取中です、転送装置は9割程度できています。自動倉庫は8割という所ですね。また爆弾は100ギガトンのものは出来てますが。1ギガトン、100メガトンはまだ7割という所です。しかし、たぶんこっちから設計図を出して連合がロボットで完成した方が早いでしょう」


「そうですね。じゃあ、設計図を頂けますか?」サリカムル大臣が要求する。


「はい、どうぞ」順平が用意していたメモリーを渡すものを、そばにいた秘書官パソコンの一種らしい箱に挿入する。


「大丈夫ですね。これでしたら、あとはこちらで引き継ぎます。では、こちらから、引き取りの船を出しますので、ええと、皆さんがお帰りになってからの方がいいでしょう」サリカムル大臣が箱のスクリーンを見て言う。


「そう、その方が引き渡しが無難に済みます。ちなみにその運搬船の移動時間はどのくらいですか」ギルバニーが聞くのに対して、


 ちょっと鈍足でして7日位(地球時間6日)かかりますね」と大臣が答え、さらに言葉を続ける。


「ええ、運搬はあなたたちが帰り着いて、そちらから連絡があってから引き取りに出発することにします。

 また、我々としては彼らの大部分が滅んだ後の、被支配種族の自立を助ける準備をしたいと思っています。そういう意味で、地球にあるデータベースの内容を、導くものラリムが持ってきていただいたので大変有用です。しかし、もともと、地球ではそうした種族に接触して援助する予定があったと聞いていますが?」


「はい、考えはあったのですが、まだデータがそろったばかりの段階ですので、今から計画を立てようとしたところです」ギルバニーが答える。


「そうですか、我々はこうした計画立案のAIシステムがあって、条件をインプットしてさらに、計画のある程度のポリシーを決めてやればほぼ自動的に最適計画が立案されます。

我々の現在考えているポリシーとしては、1.現在危険にされされているものの救助、2.殲滅作成発動後、効率的にシリンク帝国人を排除できること、3.正面からの戦いは極力避ける、4.小規模な投入で最大の効果を上げる、という4項目くらいですが、いかがでしょう。

 いや、先に実際にこの作戦に加わるおつもりはありますか、と聞くべきでしたね」大臣の言葉にギルバニーが答える。


「むろん、加わります。われわれ、未熟なものたちにとっては我々のみで実施するのはいささか荷が重かったのですが、リリンカム共和国と一緒に作戦行動をとれるのであらば、これは願ってもなかったです。ぜひ、いろいろ指導をお願いします」


 この点は、3人ですでにいろいろ議論していた。

 銀河に基盤がない彼らにとっては、いろんな種族に恩を売れるものなら売っておきたい。また最先進国である、リリンカム共和国と共同作戦を持ちかけられることなど望んでもないことだ。その信頼が得られれば地球の将来にどれほど役立つか。


 ちなみに、シリンク帝国への通告はキリガセント星を飛び立った快速船が、1万光年の距離を10回のジャンプで渡り、シリンク帝都の惑星から2天文単位の距離で実体化した。それを探知して、たちまち集まってくる哨戒艦が近づく前に、ぽいと卵型のコンテナを排出して快速船はとっとと逃げ出した。

 そのコンテナは、銀河連合の宣言を繰り返し恒星系全体に響きわたる大出力で発信した。


『銀河連合は、シリンク帝国の被支配種族及び侵略中の種族に対する、銀河連合の基本的人権に全く反する残虐行為を看過しないことを決した。

 従って以下要求する。

 1)すべての被支配種族を解放すること、さらに彼らへの連合法に反する損害は賠償すること、

 2)主力艦はすべて連合に引き渡すこと、

 3)銀河連合法の人権を著しく阻害した行為を成したものは犯罪者として引き渡すこと、

 4)強制的な人口抑制制度を受け入れること

 もし拒むか期限まで無回答の場合は、残念であるが、シリンク帝国の全惑星を住民もろとも滅ぼす。さらに、すべての宇宙軍の艦艇も同時に滅ぼす。

 この宣言は銀河歴20145年11月3日になされた。

 回答期限は、銀河連合歴で宣言の日の2カ月後の正午である』


 近づいてきた、シリンク帝国の主力艦が、最大出力で熱線ビームを打つ、たちまちコンテナは機能を停止するがすでに手遅れである。この宣言は恒星内のあちこちで受信されすでに記録されて、いまさら取り消しはできない。

 シリンク帝国では、この宣言自体は相手にしていなかったが、銀河連合からの船が明らかに超空間ジャンプにより来て、去ったということには衝撃を受けた。

 このこともあって、シリンク帝国でも今回の件には懸念する声はあったが、かれらとて銀河連合の情報は被支配種族を通じている程度は入手しており、その情報で超空間通信やジャンプの技術を持っていない弱点はあるが、正面戦力は劣っていないという分析をしていた。


 帝国の皇帝が宰相に聞いている。「今回銀河連合なるものがあのように無礼な要求をしてきているが、万が一にもわが帝国がかれらの言うように滅びるなどいうことはありえんだろうな?」


「はい、陛下、私も科学者や軍人に確認しましたが、たしかに銀河連合が全勢力で攻め寄せてくれば、わが帝国も相当な被害は受けるでしょうが、かれらとて巨大な損失を受けます。そのような危険を冒して、かれらが冒険をすることはあり得ません」宰相のが答える。


「うむ、そうだろうな。しかし、無礼な奴らだ。いずれ銀河連合なるものは滅ぼして、すべての種族を我々神聖なシリンク帝国の奴隷にしてらやらねば」そう重々しくいう皇帝であったが、自らの滅びの影には全く気が付いていなかった。


 順平たちは予定通り、1週間後リリンカム共和国を起って地球に向かった。

 大変実り多い訪問であったが、まさに導くものラリムのおかげである。

 ジョン・リザート代表がギルバニー聞く。


「私もリリンカム共和国との共同作戦の詳しいことは聞いていないが、ざっと説明してくれんかな」


「はい、作戦機は新地球クラスが200機とし、陸戦隊を各機に20人ずつ配置して4000人動員します。これは、リリンカム共和国に行くのに新地球クラスでも60回のジャンプが必要ですが、はくうん型だと倍の回数で各充電時間も倍になるため、ちょっと無理ということになりました。

 また、この際にはリリンカム共和国から戦闘ロボットを4000機の供給と、支援する種族への小火器、食料や浄水器その他援助物質を積んだ貨物機を受けます。


 作戦は、シリンク帝国の銀河中央よりで、彼らの版図から言えば端の方になるのですが、我々の担当区の場所はシュミリエ、マカリチノ、ミセルナンおよびリセンカノという恒星区です。

 銀河連合側としては、酸素呼吸生物としてリリンカム共和国及びアンモニア呼吸生物のやはり先進種族のスラミカ種族が参加します。合計の作戦星域は35か所で、いずれもシリンク帝国の圧政に現地住民が抵抗している星区です。

 シリンク帝国としては辺境で、かつ相手があまり機械文明が発達していないので、主力艦はほとんど配置されてなく、配置されているのは主としていわば駆逐艦クラスの小型艦ですから、まあ艦同士の戦いは負けることはないですね。


 担当惑星のうち、シュミリエにおいてはまだ大規模な抵抗勢力が残っており、かつ核爆弾などを食らわないように分散しており、それに相応してシリンク帝国軍の規模も大きいので、半数は80機をそこに振り分け、残り120機を3分割して分散する予定です」


 しかし、陸戦隊というからには陸で戦うわけだろう?宇宙戦闘艦に関しては少なくとも相手の主力艦と互角以上に戦えると評価しているが、陸戦でシリンク帝国軍を上回る装備を持っているのか?」リザートが聞き返す。


 ギルバニーは、「実際は、たぶんまともに陸戦を行えば勝ち目は薄いです。しかし、われわれの戦法は宇宙艦で空から圧倒しようというもので、まあ上からシリンク帝国軍の目立つ装備と人員をたたいて、どちらかというと地元の抵抗勢力に圧力をはねのけてもらおうという作戦です。陸戦隊は基本的には抵抗戦力との連絡要員です。また、リリンカム共和国から供給される戦闘ロボットは、人工知能で自律的に行動できて、実際にはシリンク帝国の兵士より強力です。なお、シリンク帝国はあまりロボット兵士を導入していませんね。これは勇猛を貴ぶというより他種族を虐殺するのを好むためらしいですが。他の種族にとっては迷惑なことではあります」そう答えるのに、リザートは聞いて内容に満足する。


「犠牲がゼロというわけにはいかんだろうが、できるだけ抑えるように頼むよ」


「むろん、それは私殿指揮官が一番感じていることです」ギルバニーがしみじみ言う。



今以下のUCLで「チート能力で作る、いつも子供が笑顔の国を」という題で別の連載をしています。

http://ncode.syosetu.com/n3396dp/

読んでみてください。

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