プロローグ④
氷結族の少年(寿命は長いので実際何歳なのかは不明)
翼人の少年
獣人族(狼種)の少年
人族の少年
異界からの迷い客の少年
石人族の少女
古妖精族の少女
精霊族の少女
獣人族(猫種)の少女
幻獣種の子供(おそらく性的未分化)
それに手伝い要員として魔法使いの末の孫。
かなり色物揃いだ。
このアケル王国は基本的に人族主体の国家だ。
確かに他の種族もいるが、どうしても少数派になっている。
そんな国の街に彼ら全員を連れてきてしまったのは確かに私の落ち度だろう。
しかし、一部や、全員を置いてくるという選択肢もきついというのが本音だ。
彼等の一部は今互いの力関係を測っている最中で、すぐに喧嘩を始めるのだ。
「ごめんなさい」と泣きながら繰り返す幻獣系の子供エミルを異界からの迷い客の少年がなだめる。
「大丈夫だよ。こわくないよ」
「でも、めちゃくちゃにしちゃったよぅ」
しゃくりあげながら周囲を見回し、嘆く。
破壊した大半は翼人と氷結族の少年だと思われるのだがエミルが責任を強く感じてしまっている。
「耐久性が低過ぎるせいだ。エミルは悪くない」
袖で口元を覆った氷結族の少年が告げる。
「大丈夫だよ。こんなのすぐなおるから」
異界からの迷い客の少年がいともたやすく口にする。
遠巻きに見守る街の住人や警備隊員がざわめく。
「気楽に言うなよ」「ざけんな」と舌打ちと悪感情が篭った反応が渦巻く。
コレが課題にもあった問題点だろうか?
確かに勇者や英雄と言っても人々に拒絶されるのは辛い。
「ほんとぉ?」
「うん。見てて」
あっという間だった。
破壊の爪痕がボロボロのチンピラ以外残すことなく消え去った。
天幕も屋台も壁も花飾りも元通りだ。
「ほら。エミル」
「すっごーい。ありがとう。ミサト」
ニコニコしているのはエミルとミサトの二人だけだ。
あとの周囲は呆然と反応できずにいた。