プロローグ②
「あー、エド、ちょーっといいかなぁ?」
呆然と広場の光景を見ている私に聞き覚えのある声が聞こえた。
相手は幼馴染みのガルモール・デザリ。
第三警備部隊長だ。
確かにこの惨状で出てこないはずがなかった。
振り返れば予想通り歴戦の戦士にしか見えない筋骨逞しくも暑苦しい髭面のおっさんがいた。
「ガル」
「あの若い奴らは知り合いか?」
暗に違うだろと言いつつ、確認を取られる。
視線の先には数人がいる。
泣きじゃくる十歳くらいの子供。それをなだめてる筆頭も同様に十歳程度。
ボロボロのチンピラに今以上の追い打ちをかけようとしている十代半ばごろの少年。土埃が気に入らないのか、ゆったりした袖で顔を覆っている少年彼も外見は十代半ばだ。
そして一部はきっちり他人のふりをしている。
やるせなさに笑がこみ上げる。
本当にどうしてこうなったんだ?
不足しているリネン類を買い足しに来ただけだったのに。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
銀髪の子供が謝りながら泣きじゃくる。
子供の足元は水浸し。それを気にした風もなく、慰めている子供は黒髪。
「エミルは悪くないよ」
「そう。悪くない。悪いのはインネン吹っかけてきたこのチンピラ。今、ちゃんと仕留めるから、心配するな」
茶髪の少年の発言にガルがあわてる。
「しとめるなーー!! 総員にて確保!」
クラクラする。
展開にクラクラするしかない。
「大丈夫ですか?」
声をかけてきたのはさりげなく他人のふりをしていたフェンリーゼ・スカイ。魔法使いの末の孫だとか。
「問題が大きくなりそうですがどうするんです?」
冷静に疑問を口にしてるのだろうが、私はあんまりの状況についていけてない。
背後で少女の「役に立たない」っという声と舌打ちが聞こえる。
「えー。仕留めるのはやりすぎだと思うけど?」
チンピラに紛れて倒れていたらしい金髪が茶髪の集めていた風の魔力を打ち消した。
「ッチ。お前が巻き込まれたせいでコトが大きくなった自覚をしろよ! レンディ・ムーン」
「え?! おれのせい!?」
「そうだな」
「え!? マジで?」